
自動車業界は、深刻な打撃をもたらす可能性のある新たなサプライチェーン(供給網)の混乱に耐えている。この混乱は予想外のところから生じた。それは、自動車やトラックの製造方法に対して大きな影響力を持つオランダの小さな半導体メーカー、ネクスペリアだ。
事情に詳しい複数の関係者によると、ネクスペリアは先週、部品の出荷を停止すると顧客に通知した。同社の半導体は照明から電子機器まであらゆるものに使用されている。出荷停止は、オランダ政府が中国企業から同社の支配権を奪取した後のことだった。関係者によれば、ネクスペリアはこの継続的な状況について「フォースマジュール(不可抗力)」事由に該当すると宣言した。これは通常、企業が異常事態に直面した際に契約上の義務が免除される条項を根拠としている。
半導体調査会社テックインサイツのバイスプレジデント、イアン・リッチズ氏は、ネクスペリアは自動車用半導体市場全体では小さなプレーヤーだが、主にトランジスタとダイオードで構成される基本的な半導体カテゴリーでは市場リーダーだと指摘。同社はこのカテゴリーで約40%の市場シェアを有していると付け加えた。
また、「こうした半導体はあらゆるものに使われている。複雑な製品を作る場合、たった一つの基本部品が不足するだけで全体が止まってしまう」と語った。
BMW、トヨタ自動車、メルセデス・ベンツの自動車に部品が使われているネクスペリアは、電子制御ユニットを含む車両システムで使用される半導体と基本トランジスタを大量に生産している。自動車メーカーと部品メーカーは現在、自社のエクスポージャーを把握し、半導体の代替調達先を見つけるために奔走しており、ネクスペリアが出荷できなければ今後数週間で車両生産に影響が出る可能性があると述べている。
関係者によると、ゼネラル・モーターズ(GM)は先ごろ、サプライヤーに対し、ネクスペリアから半導体を購入しているかどうか、どれだけ購入しているかを尋ねる調査票を送付した。