半導体 最後の賭け#15Photo:123RF

2023年の世界の半導体市場は4年ぶりに縮小する見通しだ。それにもかかわらず、ホンダやトヨタ自動車ら自動車メーカーの半導体不足が正常化する兆しが見えない。日系自動車メーカーがそろって苦戦しているのはなぜなのか。特集『半導体 最後の賭け』の#15では、海外メーカーに比べて日系メーカーが買い負ける「三つの理由」を解き明かす。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

半導体市況悪化でも買い負け
日系自動車メーカー“特有”の事情とは

 コロナショック以降、日本の自動車業界は半導体不足に翻弄されてきた。ここに来て、2023年は4年ぶりに世界の半導体市場が減速する見通し。本来ならば、自動車業界にとって待望の“挽回生産”のチャンスがやって来たといえる。

 だが、自動車メーカー幹部は「逼迫状況のピークは過ぎたが、半導体不足の問題は複雑化している」と浮かない表情だ。

 2月9日のトヨタ自動車の決算説明会でも、半導体を大量に使う高級車を中心に生産が滞っているとして、原材料高騰を懸念する説明がなされた。

 こと自動車業界に限っていえば、4年程度の周期で好況と不況を繰り返す「半導体のシリコンサイクル」とは別の問題が浮上している。

 どういうことなのか。トヨタやホンダら大手自動車メーカーが半導体調達で苦悶する理由は三つに集約される。

 次ページでは、それら「三つの理由」を解き明かす。その中には、日系自動車メーカーに特有の事情も含まれていた。