「中間管理職の悩みが消えた」
「ハラスメントに配慮して働けるようになった」

そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4500社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「数字に強くなれる」「仕組みで解決できる」という思考法を授ける本シリーズは、さまざまな企業・業界・個人から圧倒的な支持を集めている。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

40歳でアホな上司は「感覚でOK」を出す。じゃあ、いい上司は?Photo: Adobe Stock

アホな上司は「感覚でOK」

 部下が最も不安に感じる瞬間は、上司から、

「うん、感覚的にはOKでしょ」

 と言われたときかもしれません。

 これは、経験値で乗り切るというよりも、思考停止と責任放棄の合言葉として現場に浸透しています

「感覚でOK」には、裏打ちがない

 たとえば、営業資料を提出したときに、「このへん、まあ感覚でいいよ」と言われる。

 その「感覚」が、何をもとにしているのかの説明は一切ない

 この一言には、以下のようなリスクが含まれています。

・ミスの発生源が曖昧になる
・部下が責任を背負わされる構造になる
・判断の再現性がなく、属人化が進む

 要するに、組織としての「思考の共有」がまったく行われていないのです。

優秀な上司は「判断の根拠」を言語化できる

 では、いい上司はどうするのか?

 答えはシンプルで、「判断のプロセスを言語化して伝えるあ」ことです。

・「今回はA案を選んだ。理由は、過去に似たケースで成果が出たから」
・「この数値をOKとしたのは、業界平均と比べて十分に競争力があるから」

 このように、「なぜそう判断したのか」を明示することで、部下は思考プロセスを学べます。

 結果として、再現性のあるチームが生まれるのです

「感覚」はベテランの甘えになりがち

 40代以上の管理職は、経験を武器にしてきた人が多くいます。

 しかし、それが「なんとなく」「これまでの勘」として口に出されると、組織の成長を止めてしまいます

 経験の価値を最大化するには、それを他者が理解できる形に変換する力が必要です。

思考を説明できない上司は、もう通用しない

 時代は変わりました。

「背中を見て学べ」は、もはや通用しない時代です

 だからこそ、感覚を感覚のままで済ませる上司は、組織の足を引っ張ります。
 必要なのは、思考の透明性と、言語化する責任

 そして、リーダーは仮面をかぶりましょう。
 その仮面とは、思考を構造化し、伝える努力を怠らない「説明責任の仮面」なのです。

(本稿は、リーダーの仮面の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4500社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計178万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。