国宝が「あなたは松江の、宝になる人」
 トキだけでなく視聴者も銀二郎に何かあったとざわついたことだろう。
 でも「なにかあったとかそういうんじゃない」と否定。おい。思わせぶりなことを言うから、再婚した、あるいは、亡くなった。そういうことを想像するのではないか。
「というかほとんど知らんのだ」。なんだそれは。
「達者にしている」ことだけは確かだと聞いて、「そげですか」とトキはホッとした様子。
そんな話を交わしているうちに、ヘブンを発見。彼はなみ(さとうほなみ)のところにいた。英語で書いた手紙を読んで来たそうで、「おトキ探偵ありがとう〜お近づきになれたわ〜」と、なみは洋妾(らしゃめん)に一歩近づいたと思ってうっきうき。
 ここで、ヘブンの好色疑惑がわく。錦織は「あなたは松江の、宝になる人」だからとたしなめようとするが……。
「宝」といえば吉沢亮の大ヒット主演映画『国宝』。あなたも国の、宝になったのですよ、と全国の視聴者は思ったことだろう。
 松江の未来はヘブンにかかっている。にもかかわらず、遊女と遊ぼうとしているなんて……と責めた目をする錦織に、ヘブンは「ゴカイ、ゴカイ」。
「5回も!」と錦織は勘違い。
 すかさずトキが「誤解されてる」の意味ではないかと助け舟を出す。
 ヘブン「イッショニ、イタダケ。ナニモ、シテナイ」
 錦織「そんな表現、英和辞書に載ってないでしょう」
冒頭の全裸シーンといい、この下ネタは誰得なのだろうか。外国人と日本人のディスコミュニケーションを愉快に表現するためには下ネタが最適解、と制作側が判断したと善意に解釈しておく。
ヘブンは女性よりも、障子や花、着物、かんざしなど日本らしいものに興味を持ち、「すばらしい天国」と感嘆しているが、錦織に「明日授業が始まります」と言われて、また部屋に閉じこもってしまう。引きこもりか。ヘブンは日本的なものに現実逃避しているのかもしれない。
 いったい何が彼を怖がらせているのだろう。理由はわからないながら錦織が遊郭を怖がるように、ヘブンにも何か怖いものがあるようだ。
 錦織の責務はヘブンを学校に連れていくこと。一生懸命やっているのに、勘右衛門(小日向文世)のヘブン討伐に巻き込まれて、散々。
翌朝、湖上の空はピンクとブルーのグラデーションが幻想的でとてつもなく美しいのに、ヘブンも錦織も心が晴れなさそうだ。









