「大学受験」は10代における最大のイベントです。残念な側面でもありますが、いい大学に行けば、なりたい職業になれる確率は上がり、将来の選択肢は増えるのが現在の日本です。一方で、「学歴」だけで人生の成功が約束されるものではありません。
本記事では「学歴だけではなく、大人になってからもなぜ学びが必要なのか」をテーマに『学びをやめない生き方入門』(テオリア)の著者であり、立教大学経営学部教授の中原淳氏と『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』の著者である、wakatte.TVのびーやま氏への特別対談をお届けします。(構成:藤田悠[テオリア]/撮影:Akifumi Shintani)
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【お悩み相談】
受験勉強をがんばりたくありません。わざわざ難しい大学に行くモチベーションが湧きません。いまの時代、学歴なんて意味ないですよね?(高2)※1
「学歴の時代は終わった?」にどう答えるか
びーやま:これ、最近めちゃくちゃよく聞くやつですね。
中原淳(以下:中原):へえ、そうなんですか?
びーやま:僕が今回書いた『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』では、きれいごと一切なしで「やっぱり学歴って重要だよね」という話をしています。マスメディアやSNSに「学歴なんて意味ないよ」という言説が溢れていて、若者が真に受けてしまっている現状に問題意識があったからです。
実際の企業の新卒一括採用などを見ると、高学歴のほうが得をする状況は変わっていない。だとすれば、受験生は「行ける大学」のレベルを上げる努力をして、きちんと学歴を持っておくほうがいい。そのほうが、その後の人生の可能性が広がりますから。
中原:なるほど。私もびーやまさんと、ほぼ同意見ですね。
びーやま:…えっ、「ほぼ同意見」ですか? 中原先生がまさかわれわれ「学歴YouTuber」の味方に!?
中原:というか、「学歴に意味がない」なんて、いったい誰が言っているの?
びーやま:「学歴が必要かどうか」論争は、いろんなところで繰り広げられているんです。
僕らがインターネット番組などに呼ばれても、コメンテーターたちは炎上したくないので、だいたい「学歴で差別するなんてひどい」「私は学歴なんて関係ないと思います!」と言いがちです…。そこで僕らが「学歴も大事でしょ!」なんて言って、みんなからフルボッコにされたりしています。
でも、「学歴なんて関係ない」と言っているコメンテーターたち自身が、じつは早慶や東大の出身だったりするんですよ。これ、なんかズルくないですか?
中原:要するに、マウンティングトークですね。自分は「学歴の便益」をちゃっかり得ておきながら、対外的には「学歴なんて必要ない」なんてうそぶいていて、「自分の乗っているちゃぶ台」をひっくり返すわけですね。そのほうが「ウケる」し「バズる」し「儲かる」から。
うーん……私に言わせれば、「その手の人」の語りは、頭が悪くなるので、聞かないほうがいいです。



