​「大学受験」は10代における最大のイベントです。残念な側面でもありますが、いい大学に行けば、なりたい職業になれる確率は上がり、将来の選択肢は増えるのが現在の日本です。一方で、「学歴」だけで人生の成功が約束されるものではありません。
本記事では「学歴だけではなく、大人になってからもなぜ学びが必要なのか」をテーマに『学びをやめない生き方入門』(テオリア)の著者であり、立教大学経営学部教授の中原淳氏と『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』の著者である、wakatte.TVのびーやま氏への特別対談をお届けします。(構成:藤田悠[テオリア]/撮影:Akifumi Shintani)

ビジネスパーソンPhoto: Adobe Stock

【お悩み相談】

東京と地方では「学びの環境」がそもそも違いすぎます。学習環境が整っていない地方で学ぶのはシンドいです…。東京の人はいいなあ。(50代・男性)

都市部と地方で「学んでいる人」は違う?

びーやま:これ、中原先生にお聞きしたかったんですけど、やっぱり都市部と地方とでは「学んでいる人」の割合って変わってくるんでしょうか?

中原淳(以下:中原):現実的には、地方のほうが少ないですね。学ぶための環境や教育機関なども、かなり東京に偏重しています。

びーやま:じゃあ、地方で学びたい人はどうしたらいいのでしょう? 東京に出られる人はいいですが、そうじゃない人も多いですよね。

中原:それこそいまではオンライン学習があります。オンライン上にはいろんな学びのツールや機会が膨大にあるので、それを利用することもできますね。私もオンライン講座はたくさん受けていますよ。

「地方だから学べない」わけではない

中原:私が所属している立教大学大学院の経営学研究科は、ふだんの授業もフルオンラインでやっているので、地方在住の院生もたくさんいます。

 フルオンラインの大学院の場合、都内だろうと地方だろうと全然関係ないですね。スクーリングもありますが、一度も対面授業に参加しないで、卒業なさる方もなかにはいらっしゃいます。でも、全然、孤独にはなりませんよ。みな、オンライン上でこってりとグループワークをやっていますから。

びーやま:いまは、大学が社会人向けに公開しているオンライン講座なんかも、かなり充実していますよね。

中原:たとえばAIを学べる無料コースなんて、ものすごくたくさんあります。私もたくさん受けましたが、「ありすぎて選べないくらい」です。そう考えると、「地方在住だから学べない」ということは、ないですよ。

 それに、リアルな学びの場についても、東京のほうが多いのは事実ですが、地方にもまったくないわけではありません。それぞれの地方に、すばらしい学びの場をつくっている方がいらっしゃるので、そういうコミュニティを探して足を運ぶといいと思いますね。