着用すれば姿勢が一変する
装具療法の3大メリット

 背中の老いの治療法のひとつに、「装具療法」があります。

 背中や腰が曲がってきて身体のバランスをとるのが難しくなっているものの、手術に踏みきらなくてもまだなんとか治療できる――そんな患者さんにおこなうことが多い治療法です。

 用途に合った装具を背中に装着すると、背中の後弯(編集部注/脊椎が曲がって猫背を引き起こしている状態)が抑えられてバランスをとりやすくなります

 写真にあるように、着用前と着用後では、姿勢が一変しているのがわかるでしょう。

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 装具療法のメリット・デメリットは、ともに3つずつあります。

《装具療法のメリット》

(1)姿勢の矯正をサポート
 装具をつけることによって、背中が物理的に支えられるので、背中の伸びた姿勢を意識しやすくなります。軽度から中度の後弯において、姿勢の改善に役立ちます。

(2)痛みの軽減
 背中が後弯している人は、バランスを維持するために、背中や腰や足などの筋肉に大きな負担がかかっています。装具をつけると姿勢が正されて、筋肉への負担が減るので、痛みや疲れが軽減されることがあります。

(3)手術の回避
 初期段階で使用することにより、身体的負担の大きい手術を回避できます。または経過を見ながら、手術の時期を先に延ばすことができます。

装具療法の見逃せない
3つのデメリット

《装具療法のデメリット》

(1)長期使用における筋力低下
 装具に頼りすぎると、姿勢を保つ筋肉の活動が鈍くなることがあり、筋力低下につながる危険性があります。

(2)装着の不快感・心理的抵抗
 身体に矯正具をつけるのですから、基本的には心地のよいものではありません。「装着すると暑い」「不快だ」という患者さんの声もよくあります。

(3)根本的な治療にはならない
 装具はあくまでも補助的な手段であり、装具をつけると同時に、運動療法(筋トレやストレッチなど)をおこなっていく必要があります。装着してからの行動も重要です。

 装具療法で大切なポイントは、必ず医師や理学療法士の指導のもとで着用することです。

 姿勢矯正サポーター、○○ベルトといった商品を市販する業者も存在しますが、これは医療用の装具ではないので、治療というよりも予防や意識づけの効果と私は考えています。軽症なものには効果があるかもしれません。