先に挙げた例を引用しつつ、詳しく説明しましょう。

 iDeCoは一度始めると60歳まで続ける必要がありますので、仮に51歳で始めると、60歳になるまでの10年間続けることになります。

 その間、先の例と同じく毎月2万円だと年24万円になるので、10年間で合計240万円の投資です。その節税額は年間4万8000円ですから、10年間で所得税と住民税が48万円安くなります。

 つまり10年間で240万円を投資して、48万円儲かるのと同じことです。

 これを金利で言い換えると、元本に対して20%儲かることになるので、20%÷10年で1年あたりの金利は2%相当、ということになります。さらに定期預金は利益に対して通常約20%の税金が引かれるところを、iDeCoでは税金がゼロですので、手取り額は金利2.5%と同じになります。

 このように、iDeCoを通じて円定期預金へ10年間投資すれば、元本保証付き&金利2.5%の定期預金に化けるというわけです。

 今のところ、このような好条件での円定期預金はありません。リスクもありませんので、iDeCoのあなたの資産を守る効果は高いものがあります。

年収で変わる節税効果

 なおiDeCoの節税効果は、年収によって変わります。それは年収によって、所得税率が変わるためです。
 たとえば、

・年収300万円の会社員:iDeCo拠出額の15%の節税効果
・年収560万円の会社員:iDeCo拠出額の20%の節税効果
・年収1000万円の会社員:iDeCo拠出額の30%の節税効果

 となります。

 つまり年収が高い人ほど、節税効果が大きくなるということですね。年収1000万円の会社員なら、金利3.75%相当の円定期預金と同じ投資効果が期待できる、という計算になります。

 定期預金を例に挙げて説明しましたが、iDeCoは投資信託などへ投資した場合でも、同じ額を節税できます。

 たとえば仮に年収560万円の人の投資信託が20%下落したとしましょう。このケースでは節税効果とプラスマイナスゼロとなり、損はしないことになります。

 安定した投資先、たとえば日経平均やS&P500(アメリカ上場500社の平均株価)に連動する投資信託を選べば、さらに損をしにくくなるでしょう。