法律上も心情の上でも、親はいつまでも親です。そういう意味で失われるものは何もない上に節税効果が得られるのですから、家族で話し合って決めた次第です。
なお、特別養子縁組でなければ(普通養子であれば)、将来養子関係を解消することもできます。親族以外との養子縁組は後々面倒なことになるかもしれないので、仲のいい親族同士のほうがおすすめです。
ちなみに昔は養子に人数の制限がなかったのですが、現在は相続税の基礎控除に入れられるのは実子がいる場合にはひとりまで、いない場合はふたりまでとなっています。
節税できる範囲が狭まったということですから、これも増税の流れのひとつと言えるでしょう。
・1位:生前贈与
生前贈与とは、生きている間に財産を他の人に無償で譲ることです。相続税法では、ひとり当たり毎年110万円までは税金ゼロで贈与ができると定められています。
ですから、たとえば子どもが3人いる場合、長男へ110万円、長女へ110万円、次男へ110万円というように年330万円のお金を、贈与税(無償で財産を受け取ると払わなければならない税金)を払わすに渡すことができるわけです。
非常にシンプルですし、効果が高い割にリスクもない方法なので、おすすめの1位としました。
1年間の上限額がありますから、早く始めれば始めるほど、節税効果は高いです。
ただ、ここにも増税の波が来ています。亡くなる前の贈与が相続財産に加算される年数が、従来の3年間から7年間に拡大されることが決まったのです。
つまり7年が経過していない生前贈与には、元通りの相続税がかかってしまうということです。
この法改正は2024年から段階的に導入されており、期間は少しずつ延長され、2031年1月1日に完全に7年間に移行することになっています。
よく「どんな資産家でも3代で財産がなくなる」と言われますが、この改定によって、その流れが強化されたと言えます。
相続対策を行うのは一刻も早いほうがいい。その理由がまたひとつ増えたのです。







