親の老後を支えるかかりつけ医の選び方とは写真はイメージです Photo:PIXTA

親が突然倒れたときに対応してくれた主治医のことを「かかりつけ医」だと思ってはいないだろうか。介護の現場を長年見つめてきた吉田肇氏は、主治医とかかりつけ医は別、と指摘する。親の老後を支える“かかりつけ医の選び方”とは。※本稿は、吉田肇『介護・老後で困る前に読む本 親子で備える知恵と早期の選択で未来を変える!』(NHK出版)の一部を抜粋・編集したものです。

命を助けてくれた病院を
かかりつけ医と思いがち

 まず、親御さんの健康面について考えていきましょう。先読みするなら、おおいにあり得る「親が突然倒れる」という未来です。そして、そうなった場合には、「命が助かり、後遺症も残らず、元気に退院」がいちばん望む未来と言えるのではないでしょうか。そこから逆算して備えるべきことを整理すると、大きく3つのポイントが見えてきます。

(1)かかりつけ医の大切さを親子で認識しているか

(2)緊急時にかけつけてくれる人を子どもが把握しているか

(3)保険証など親の健康データの置き場所を子どもが把握しているか

 日本医師会総合政策研究機構の調査によると、70歳以上の約8割(*注1)が「かかりつけ医がいる」と答えています。ただ、この質問を「看取りまでお願いできるかかりつけ医はいますか?」に変えたら、「いる」と答える人は3割にも満たないように思います。というのも、介護の現場で70歳以上の方の生の声を聞いている限りでは、入院や手術をした大きな総合病院の「主治医」を「かかりつけ医」と捉えている方がとても多いからです。

*注1 日本医師会総合政策研究機構 第7回 日本の医療に関する意識調査(令和2年)
https://www.jmari.med.or.jp/result/working/post-246/