AI時代で資産形成提案に便利な2つの仕組み、ポーター戦略の応用と「GDP6ボックス」の活用で全情報の体系的な整理を写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

忙しい中でも「考えること」を

 本連載では、必要かつ有効な技術的知識を絞り込み、“考える投資”のきっかけにすることに意を用いた。

 ここまで述べてきたことを振り返ってみよう。まず、われわれの年金原資が2013年以降、大きく改善していることに再注目したい(連載第4回、2025年9月30日号)。ダイナミックな資産配分の変更によって、国民にとって喜ばしい実益が生じている。投資信託の販売に関わる「人財」の要件は、こうしたポジティブなニュースにしっかり反応できることだ。

 そして日経平均株価は、本連載中の9月16日に45,000円の史上最高値を更新し、平均PER(株価収益率)は18倍を超えた。この水準がサステナブルなのか、取り扱っている投信を構成する上位10銘柄のPERとその変化をいま一度点検しておこう。

 また、株価の前提となる予想利益が妥当なのかも確認したい。主要銘柄のBS(貸借対照表)・PL(損益計算書)をざっと見るだけでも理解が深まる。今回の株価上昇により、投信の値動きの標準偏差がどう変化するのかも気にかけておこう。市場と論理的に向き合う際、かつて煩雑だった手間は、いまAI(人工知能)で劇的に削減できる。

 なお、日経平均株価は225銘柄だが、TOPIX(東京証券取引所指数)は約1,800銘柄ある。資産運用のプロは通常、企業数の多いTOPIXをベンチマークとするため、皆さんにも意識してほしい。

 本連載の締めとして、このAI時代に人間として「考えること」に注力する意味と、それによるリターンを強調したい。そして、仕事の質を高める楽しく効率的な仕組みを二つ紹介したい。