伝え方を身につけたら、日本企業は強くなる
【サイバーエージェント藤田晋×佐々木圭一】（前編）

2013.7.12 0:20

佐々木圭一

[コピーライター／作詞家／上智大学非常勤講師]

新入社員時代、もともと伝えることが得意でなかったにもかかわらず、コピーライターとして配属され苦しむ。連日、書いても書いてもすべてボツ。紙のムダということで当時つけられたあだ名は「もっともエコでないコピーライター」。ストレスにより１日3個プリンを食べ続ける日々を過ごし、激太りする。それでもプリンをやめられなかったのは、世の中で唯一、自分に甘かったのはプリンだったから。あるとき、伝え方には技術があることを発見。そこから伝え方だけでなく、人生ががらりと変わる。本書はその体験と、発見した技術を赤裸々に綴ったもの。本業の広告制作では、カンヌ国際広告祭でゴールド賞を含む3年連続受賞、など国内外55のアワードに入選入賞。企業講演、学校のボランティア講演、あわせて年間70回以上。郷ひろみ、Chemistryなど作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。『世界一受けたい授業』等テレビ出演多数。株式会社ウゴカス代表取締役。

佐々木圭一公式サイト: www.ugokasu.co.jp
Facebook:www.facebook.com/k1countryfree
twitter:@keiichisasaki

伝え方が9割

伝え方にはシンプルな技術があります。
本連載では、著者が膨大な時間とトライ＆エラーで導き出した方法論のエッセンスをご紹介します。
この方法論を使えば、料理のレシピのように、誰でも強いコトバをつくれるようになります。是非、本連載のエッセンスを仕事やプライベートに活用してください。

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伝え方を身につけたら、日本企業は最強になる

藤田これは特にネット系の技術者たちが作るサービスがそうなんですが、世の中を便利にするとか、合理的にするとか、簡単にするという方向に行き過ぎて、結果的に「こういうことがやりたいんだ」という意志をうまく伝えられずにユーザーに使ってもらっている、というものがけっこう多い印象があるんです。
せっかくいいものを作っても、ちゃんと伝わるようにやらないとパーになってしまうよ、と口を酸っぱくして言っているんですが、佐々木さんは本の中で、日本企業はこういうことが下手だ、と書いていますね。
ＩＴでも、アメリカの技術、例えばグーグルのユーザーインターフェースにしても、iPhoneにしても、何も説明されていないのに、伝わっているわけです。

佐々木 僕はロサンゼルスに住んでいたこともあるんですが、まわりは世界中のいろんな国から人たちで溢れているんですよね。英語もしゃべれるけれど、英語が母国語じゃない人たちが集団になって、組織を形成したりしている。
だから、難しいことを言われても、さっぱり通じないのが、実はアメリカなんです。なるべくシンプルに、簡単で、短くてパッと見てわかるものじゃないといけない。そういう文化なんです。
それに対して、日本はずっと島国で、鎖国もしてきた。あまりしゃべらなくても「この人は私の気持ちがわかる」みたいに文化を作ってきた。これは日本人の長所でもあり、短所でもあると思うんですが、相手の細かなところまで感じ取れてしまう。コミュニケーションが違うわけです。

藤田だから、日本企業はグローバルなものを作るのが、下手なのかもしれない。

佐々木 そうですね。普段は細かなところまで感じ取れるから伝えることに気を配っていない。でも、いざ伝えようと思ったら、ズラズラと説明してしまうんです。それだとかえって伝わっていかないということはありますよね。

藤田伝え方も下手だと言われますよね。

佐々木 僕は実は理系出身で、ロボットを研究していたんです。メーカーに友人がたくさんいるんですが、世の中に出ている日本の技術は、本当にごくごく一部なんですよね。彼らにはいろんな知見があって、技術もたくさんあるんです。
ところが、どうすればうまく世に出せるかがわからない。「日本の技術はやっぱりすごい」と言われると僕もうれしいですから、なんとかお手伝いができるといいなと思っているんです。

藤田コピーライターを社内で雇う余裕のある会社は滅多にないでしょうしね。でも、専門のコンサルタントは必要かもしれない。

佐々木 『伝え方が9割』では、デートの誘い方みたいなライトなものから、ビジネスで使える伝え方といったものまで触れているんですが、技術を伝えるにしても、伝え方次第で受け手はまったく変わると思っています。日本人は真面目ですから、技術を磨くのは得意ですし、世界のトップレベルのものを今までも作ってきたし、これからも用意していると思うんです。
だとしたら、技術に加えて伝え方を身につけたら、日本企業や日本人は最強になると僕は思っています。伝え方は鍛えられるんです。これまでは、学校でもそういう授業はなかったけれど、伝え方を学べば、日本の技術はもっと世界に出るようになるし、戦っていけるようになると思います。

藤田佐々木さんの本がこれだけ売れているのは、みんなうっすら思っていたことが書いてあったから、かもしれないですね。

後半は7月17日更新予定です。

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◆「伝え方が9割」バックナンバー

第1回無理めな、あの人にデートＯＫをもらうコトバとは??

第2回チカン多発地域！ある看板をつけたらチカンが発生しなくなった、そのコトバとは??

第3回困った自転車放置！ある看板をつけたら放置がなくなる、そのコトバとは？

第4回子どもが言っても勉強しない！言い方を変えたら、勉強をはじめたそのコトバとは？

第5回いままで伝えることが苦手だった人のほうが、この方法で劇的に人生が変わる【本田直之×佐々木圭一】（前編）

第6回伝える技術って、相手のことを想像する技術でもあるんです。【本田直之×佐々木圭一】（後編）

第7回「相手のことを想像して伝える」それが、この本に書いてあるすべて【姜尚中×佐々木圭一】（前編）

第8回「心」という小説を書くことで、亡くなった息子に近づきたかった。【姜尚中×佐々木圭一】（後編）

第9回なぜＤＪポリスの伝え方が、群集を動かしたのか？そこに使われていた「伝え方のレシピ」。

第10回ＤＪポリスが伝え方で使った「チームワーク化」。これを使えば動かない人も動く。

第11回実は隠れコンセプトは「相手のことを想像する技術」【元スターバックスジャパンＣＥＯ・岩田松雄×コピーライター佐々木圭一】（前編）

第12回上司は、自分の上司にしていることを、部下にも求める【元スターバックスジャパンＣＥＯ・岩田松雄×コピーライター佐々木圭一】（後編）

【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

価格：￥1,400（本体）
四六判・並製 ISBN：978-4-478-01721-0

◆佐々木圭一『伝え方が9割』

入社当時ダメダメ社員だった著者が、なぜヒット連発のコピーライターになれたのか。本書には、心を揺さぶる「伝え方の技術」が書かれてある。膨大な量の名作のコトバを研究し、「共通のルールがある」「感動的な言葉は、つくることができる」ことを確信。この本で学べば、あなたの言葉が一瞬で強くなり人生が変わる。

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◆藤田晋『起業家』

ベストセラー『渋谷ではたらく社長の告白』から8年。
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【ダイヤモンド社書籍編集部からのお知らせ】

『伝え方が9割』