子どもが少し大きくなっても、親の悩みや不安は尽きません。今日もイヤな叱り方をしてしまったと、落ち込むことも……。きれいごとでは進まない子育てでうまく立ち回るために、23年間の小学校教師経験を含む40年超の実績のある教育評論家・親力アドバイザーの親野智可等:著『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)に頼ってみませんか。本連載では、多種多様な子どもたちとその保護者に向き合って生まれた「親がラク&子どもが伸びる」一石二鳥のテクニックを紹介していきます。
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私が受け持ったある男の子は、5歳くらいのころから機関車トーマスが大好きでした。お母さんはその気持ちを大切に、電車の本や電車のオモチャを買ってあげたり、電車を見に連れて行ったり、一緒に乗りに行ったりしていました。
そうした応援のおかげで彼は好きなことをたっぷり深められました。「電車の種類も路線もほとんど覚えてしまった」と本人が言っているほどです。
その後、大学生になってからも電車への興味を失わず、その延長で観光学を学びました。ついには旅行関係の仕事に就き、今はツアーの企画立案の仕事をしています。
本人は「楽しくてたまらない」と言っています。
とはいえ、彼のように子どもの頃からずっと一貫して同じものに熱中して仕事にまで繋がるケースばかりではありません。好きな対象がどんどん変わっていく子もいますし、その方が普通ではないかと思います。
でも、それはそれでいいと思います。大切なのはその時々の本人のやる気の旬を応援してあげることです。
それらはすべて子どもの栄養になりますし、いろいろなことをやってみるなかで自分の進む道をだんだん見つけていけばいいのですから。
親がすべきことは、親のやらせたいことを子どもにやらせることではなく、子どものやりたいことを応援することです。
親は監督ではなく応援団になりましょう。
なぜなら、これからは自分がやりたいことを自分で見つけてどんどんやれる人が、充実した人生を送れる時代になるからです。
「人に言われたことはやるけど自分がやりたいことはとくにない」という生き方だと、仕事でもプライベートでも本当の満足を得ることができません。
これは生き方そのものなので、大人になって急に前者のような生き方ができるようになるわけではありません。
子どものころからそういう生き方をさせてあげる必要があります。
◆本稿は『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)の著者・親野智可等が子どもに関わるすべての人に伝えたい書きおろしメッセージです。



