会見で社名の変更を説明する日立建機の先崎正文社長会見で社名の変更を説明する日立建機の先崎正文社長 Photo by Shintaro Iguchi

日立建機が2027年4月に「HITACHI」の名を外し、「ランドクロス(Landcross)」へ社名を変更する。その意味するところは、単なるブランド刷新にとどまらない。日立製作所が持っている日立建機株式の25%強をどう処理するかという、資本戦略の「出口」を示唆するものだからだ。資本市場では、22年に同株式を取得した伊藤忠商事と日本産業パートナーズ(JIP)による再編の動きが再び注目されている。(ダイヤモンド編集部)

浸透している「HITACHI」を外す意味とは!?
ブランド返上の裏に資本構造の変化

 発表後の記者説明会で注目を集めたのは、大和証券の田井宏介アナリストの質問だった。「日立製作所が保有する株式放出に備えたものではないか。オープン戦略の中でM&Aの可能性はあるか」。先崎正文社長は日立側の動きへの言及を避けつつも、「他社と組む中で資本も、ということはあり得る」と答え、思わせぶりな含みを残した。

 現在、日立製作所は日立建機株の約25%を保有している。2022年に日本産業パートナーズ(JIP)と伊藤忠商事が共同で約26%の株式を取得し、持分法適用会社に移行しているが、日立本体の影響力は残る。日立建機の時価総額1.1兆円を基準にすれば、日立の持ち分はおよそ2000億円規模。市場関係者は「日立が残りを誰かに売るのではないか。伊藤忠、JIPがどう動くかが焦点だ」と指摘する。

 日立建機の社名変更が、建機業界の大型再編につながる可能性はあるのか。次ページで探っていく。