
重工、建機、ロボット、工作機械――。さまざまな製品を造る機械メーカーは海外売上比率が高い企業が多く、2024年度は円安を追い風に業績が好調だった。稼ぎはどれだけ給料として還元されているのか。特集『25年 給料ランキング』の本稿では、機械大手10社(ファナック、安川電機、三菱重工業、川崎重工業、IHI、住友重機械工業、コマツ、日立建機、クボタ、DMG森精機)の過去5年の年収を分析したランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
機械大手は給料が上昇基調
社を挙げて「賃上げ」を実施したDMG森精機が躍進
2024年度の重工・建機・ロボット大手10社の平均年収が出そろった。全社が4年前(20年度)と比べて年収を増加させる快挙を達成した。円安や資源高を追い風に、各社の業績が好調に推移したためだ。特にエネルギー・防衛分野での需要増や、海外市場の拡大が、社員の待遇改善につながった。
ダイヤモンド編集部は、三菱重工業、川崎重工業、IHI、住友重機械工業、コマツ、日立建機、クボタ、DMG森精機、ファナック、安川電機の10社の20年度から5年間の年収の推移を分析した。すると、稼ぎを社員に還元して、働く場所としての魅力を高めている会社が複数あることが浮き彫りとなった。
栄えある24年度のランキング1位に輝いたのはファナック(1163万円)だ。産業用ロボットとCNC(コンピュータ数値制御)装置の分野で世界的シェアを誇る同社は、抜群の収益力で知られている。25年3月期は、売上高7971億円に対し営業利益は1588億円、営業利益率は脅威の19.9%に上る。
かつて40%超の営業利益率をたたき出した頃に比べれば、現在はやや落ち着いたとはいえ、営業利益率が5~10%にとどまることが多い製造業の中では、依然として際立った存在といえる。ただし、次ページのグラフの通り、直近の年収は22年度をピークに下落していて、今後も“王座”を守れるかどうかが注目される。
3位に食い込んだのはDMG森精機(903万円)だ。工作機械の世界大手である同社は、ここ数年の収益改善を受け、給与水準を急上昇させた。24年12月期の平均年収は903万円と、21年比で1.24倍にまで伸長した。
製造業全体でも給与は上昇しているが、DMG森精機の伸び幅は異例だ。激化する人材獲得競争に勝ち抜くため、思い切って待遇を上げているのだ。EV(電気自動車)関連需要への対応、欧州の工場自動化トレンドを背景に、今後も成長と社員への還元の実現を目指す。
次ページでは、初めて年収1000万円の大台を突破して、機械業界の年収ランキングで2位に躍り出た「あの企業」の社名と、大手10社の20~24年度の年収の推移を明らかにする。