大江戸線の路線名を決定する際、候補のひとつに「東京環状線」があったが、当時の石原慎太郎知事が「環状線とは環状運転をするものだ」として却下されたと言われている。
大江戸線は都庁前駅を起点に1周する「環状部」と、光が丘方面に伸びる「放射部」が組み合わさった「6の字型」の路線だ。環状部は完全な円形ではないが、地下鉄ネットワークを横方向に接続する正真正銘の環状線であり、途中駅で方向転換する環状運転を行っている。
副都心線はその名の通り、東京の地下鉄では初めて都心三区(千代田区、港区、中央区)を経由しない路線である。東京都庁のある新宿は「新都心」と考えれば、副都心線は放射線の要素もあるが、都心三区を中心とした地下鉄ネットワークにおける位置づけとしては環状線だ。
池袋から東京を経由して新宿方面に至る「コの字型」の丸ノ内線は、路線図上は大江戸線に類似しているように見える。しかし、丸ノ内線は私鉄と国鉄の乗り換え客の急増で混雑が激化した池袋駅、新宿駅を“救済”するため、都心に直結する地下鉄を建設し、混雑を分散することが建設の目的だった。
つまり、丸ノ内線は池袋と東京、新宿と東京という2つの放射線をつないだ路線であり、路線図が「環」に近いからといって環状線ではない。実際、丸ノ内線は他の放射線と並行しており、地下鉄ネットワークを横に接続する要素はほとんどない。
この他、2030年代半ばの開業に向けて建設中の有楽町線豊洲~住吉間は、2003年に開業した半蔵門線住吉~押上間と一体的に構想された路線である。開業後は押上~豊洲間の直通列車を設定する予定で、東武線、京成線、総武線、都営新宿線、東西線を縦に結ぶ環状線となる。
5つのステップでたどる
山手線の最初の40年
これらをふまえて、山手線の最初の40年を、5つのステップに分けて見ていこう。








