山手線が“円”になる最後のピースはどこだった?環状運転までの40年史Photo:PIXTA

今年、開業140周年の山手線は11月1日、環状運転を開始してから100周年を迎えた。都心をぐるりと回る山手線は都民に欠かせない足であり、東京のシンボルとも言える。なぜ山手線は偉大なのか、山手線の「100年」ではなく環状運転を開始するまでの「40年」から読み解きたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

「環状線」と「環状運転」は別物? 
混同されがちな鉄道の用語

 まずは環状運転について整理しておこう。山手線は一般に「環状線」と認識されているため、環状線とは山手線のように環状運転を行う路線のことだと思われがちだ。しかし、環状運転を行う路線は環状線ではあるものの、逆に環状線であっても必ずしも環状運転を行っているとは限らない。

 交通網は大きく、都心から郊外に伸びる「放射線」と、放射線を横につなぐ「環状線」に分類できる。東武、西武、京王、小田急、東急の私鉄各線と接続する山手線はもちろん環状線だ。JRでは武蔵野線や南武線、横浜線、関東大手私鉄では東武野田線、京成松戸線(旧・新京成電鉄)が代表的な環状線である。

 環状運転とは山手線や大阪環状線、名古屋市営地下鉄名城線のように、1周して同じ駅に戻る運行形態、特に進行方向を変えずに運行するものを指す。

丸ノ内線、副都心線、都営大江戸線は
「環状線」か「放射線」か

 ここまでを東京の地下鉄13路線で整理すると分かりやすい。地下鉄のほとんどは大手町や日本橋、銀座といった「都心」を中心に、両端が郊外に伸びているが、例外と言えるのが丸ノ内線、副都心線、都営大江戸線だ。