東京都心の空撮Photo:PIXTA

2025年は「昭和100年」にあたる年だという。ついこの間、「大正100年」と言われた気がするが、それからもう13年も経過したのである。気が付けば令和ももう7年。暦ばかりどんどん進んでいくのは、筆者が歳を重ねたためだろうか。約100年前の日本は、関東大震災や昭和金融恐慌などもあり、決して明るい時代ではなかった。だが、鉄道史において、現代的な都市生活が形作られたのも、この時代だった。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

わずか7日間だった
昭和元年と64年

 昭和が始まったのは1926年12月25日、終わったのは1989年1月7日。つまり昭和の元年と64年はそれぞれ7日間しかないので、100年前の1925年はまだ大正14年だ。そんな「わずか7日」の昭和元年生まれは何人いるのか。明確な統計はないようだが、1926年の出生数は約210万人なので、均等に生まれたと仮定すると約4万人の計算だ。

 2023年10月の人口推計によると、97歳の人口は男性約2.1万人、女性約8.9万人の計約11万人なので、生存率は5.2%。昭和元年生まれも同様とすれば、存命の昭和元年生まれは約2000人超といったところだろうか。

 彼らが生まれた大正末から昭和初期にかけての時代は、決して明るいものではなかった。日本経済は第一次世界大戦の特需で急速に発展したが、1920年にバブルが崩壊。1923年には首都を関東大震災が襲い、長期の経済低迷期に入った。

 これらで生じた膨大な不良債権は、1927年3月に「昭和金融恐慌」として顕在化。1929年10月にはアメリカで世界恐慌が発生し、1930年に入ると日本にも波及して「昭和恐慌」と呼ばれる深刻な不況に陥った。

 現代的に言えば「失われた10年」、閉塞を打破せんと大陸侵略を加速し敗戦に至ったことまで含めれば「破局への25年」とも言うべき時代であったが、一方で現代的な都市生活が形づくられたのも、この時代であった。