ダウンタウンという「別格」
現場を越えて広がる敬意の正体

 ダウンタウンを「特別」とみなす向きは、制作現場にとどまらない。一例として、吉本興業110周年公演「伝説の一日」では、人気の後輩芸人たちが舞台袖から2人の漫才を見守る場面が話題になった。さらに、島田紳助氏やオール巨人氏、太平サブロー氏、故・立川談志氏ら大物芸人の過去の発言を振り返っても、ダウンタウンを評価し、別格視するニュアンスがにじむ。

 ちなみに、先日マンション火災で時の人となった林家ペー氏は、テレビ番組の「箱の中身は誰でしょう?」企画で、松本氏から足で顔を何度も蹴られてもなお、笑顔で「松本先生、さすが」と連呼していた。まあ、これは笑い話のひとつに過ぎないが、芸歴がずっと上の先輩芸人からも一目置かれる存在であることに異論はないだろう。

 この空気感を象徴するかのように、ダウンタウンの番組以外で2人そろってメディアに出演する機会は絞られてきた印象がある。特に、活字媒体で近年確認できるのは、『Quick Japan』(2012年/太田出版)の特集「ダウンタウンをやっつけろ」と、吉本110周年で特集が組まれた『SWITCH』(2022年/スイッチ・パブリッシング)くらいしかない。

 もちろん、大御所になるほどインタビュー取材に応じないタレントも多いが、ダウンタウンのように20年間で数えるほどというのは異例だろう。

火種を避けたい?フジテレビの思惑と
降板騒動で思い出す大物タレントの記憶

 それほど特別な存在であるダウンタウンの、コンビそろっての復帰直前に余計な火種を避けたいと、フジテレビの上層部は考えたのだろうか……。一方で、「大悟さんの気持ちも分からなくはない」と語るのが、関西の漫才コンテストの審査員経験もあり、テレビ業界にも詳しい編集者・高田強氏だ。