総予測2026投資ファンド「ありあけキャピタル」はあいちFGの株式を大量保有する Photo by Anna Akatsu

2026年は地方銀行の再編に向けた動きが一段と強まりそうだ。金利上昇を背景に、預金獲得やシステム更改コストの面から規模のメリットが大きくなった上、地銀に“外圧”をかけるプレーヤーまで動き始めているからだ。特集『総予測2026』の本稿では、地銀再編の動向と今後注目される地域を大胆に予想する。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)

投資ファンドが再編主導
“ありあけ”の動向に注目

 現在の地銀再編を語る上で欠かせないプレイヤーの一つが、地銀を中心に投資するファンド、ありあけキャピタルである。

 2025年9月、千葉銀行と千葉興業銀行は経営統合で基本合意した。それを主導したのが同ファンドだ。

 22年半ばに千葉興銀への投資を開始し、25年1月には議決権比率を19.9%まで引き上げて筆頭株主に浮上。続く3月に保有株式を千葉銀に売却し、両行統合の基本合意へとつなげたのだ。

 ありあけキャピタルが新たに照準を定めたのが、あいちフィナンシャルグループ(FG)だ。25年10月7日にありあけキャピタルが関東財務局に大量保有報告書を提出し、あいちFG株を5・06%保有していたことが判明。足元では7.29%(11月10日時点)まで買い増している(下図参照)。

 愛知県は自動車関連産業をはじめ製造業が強く、周辺行にとっても魅力的な市場だ。

 あいちFGの買い手候補として関係者の間で名前が挙がるのは、岐阜県に本社を置く十六フィナンシャルグループ。傘下の十六銀行の総資産は7.5兆円(25年3月末時点)で、県外勢の中でも愛知での存在感が大きい。

 だが再編を仕掛けるプレーヤーは、投資ファンドだけではない。26年は、金融庁が主導する“官製再編”圧力も一段と強まるはずだ。

次ページでは、金融庁幹部の問題意識に加え、今後の再編で焦点となる地域を各地域の勢力マップと共に明らかにする。九州や日本海側など、各地で再編のマグマはたまっている。