しかし、顕著な傾向として、米国の主要メディアはその点、おとなしいですね。いちばんのネタ元はホワイトハウスであり、NSC(国家安全保障会議)でありCIAであり、なわけですが、おそらくそういった組織がロシア側を煽動するような未確認情報をあまり出さない。慎重なのです。
実際、そうした米当局筋発信情報に強い『ニューヨークタイムズ』とか『ワシントンポスト』などの報道が、ウクライナ侵攻に関しては圧倒的に信憑性が高い。CNNなどもそうですね。
『国際情勢を読み解く技術』(小泉 悠、黒井文太郎、宝島社)
対してイギリスは、もちろん『デイリーメール』のようなタブロイド紙は煽動的な記事を掲載するのが常なのですが、特に侵攻初期に高級紙の『ザ・タイムズ』が単独スクープを量産しました。けれども飛ばし記事も少なくなかった。
『ザ・タイムズ』は世界最古の高級紙ですので、世界中のメディア、日本のメディアもそうですが、「英紙が報道した」からと、引用報道するわけです。けれども、飛ばし記事が多い。『ザ・タイムズ』ほどでもないですが、英紙の『デイリー・テレグラフ』などにも怪しい記事はあります。
あと、『フィナンシャル・タイムズ』もときどきクレムリン情報などロシア内部の暴露情報を単独スクープするのですが、信憑性がきわめて怪しい不確かな情報がよくあります。







