ドナルド・トランプ米大統領 Photo:SANKEI
ドナルド・トランプは、大統領選の公約として「ディープステートの解体」を掲げた。都市伝説にしか思えない陰謀論に、世界を動かすアメリカ大統領が染まってしまったのはなぜか。フェイクニュースや差別発言を繰り返すトランプ政権の闇を、軍事評論家の2人が語り尽くす。※本稿は、小泉 悠、黒井文太郎『国際情勢を読み解く技術』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
「お友達」ばかりを
集めるトランプ大統領
小泉悠(以下、小泉):トランプに影響力のある側近には、公式な政権スタッフでない人も多いようですね。
黒井文太郎(以下、黒井):トランプには政府内の専門家よりも、個人的な側近ばかりを周囲に集めるという特徴があります。それで、もともとFOXニュースやブライトバート・ニュース、ケーブルテレビのワン・アメリカ・ニュース・ネットワーク、ニュースサイト兼ケーブルテレビのニュースマックスといった親トランプ派メディアで活動していた人々の影響力がきわめて強い。
第1次政権期にトランプ応援団のトップランナーだった元FOXキャスターのタッカー・カールソン、あるいはブライトバート・ニュースのスティーブン・バノンは、公式にはトランプ政権に入っていませんが、いまだにトランプ本人と深い関係があります。両者ともMAGA(編集部注/トランプが掲げるMake America Great Againの略)陣営の超大物インフルエンサーです。
他にも、極右系陰謀論インフルエンサーのローラ・ルーマーのような存在もいます。31歳の彼女はもともと大学在学中から極右系サイトを拠点に言論活動をしてきたインフルエンサーですが、「9.11テロは米政府の自作自演」とか「民主党上層部は影の権力集団“ディープステート”」などの陰謀論ばかりの人物でした。







