話のほとんどがインチキで、私は最初から胡散臭いだけじゃないかと思っていたのですが、けっこう欧米のメディアに引用されています。

小泉:SVR将軍だけでなくて、多いですよね、あの手のアカウントは。

キャッチーなネタこそ
裏づけ作業が必要になる

黒井:今でも怪しいテレグラムの正体不明のアカウントを基にした報道があります。多いのは、イギリスのメディア発の報道ですね。日本では「イギリスで報じられた」ということで孫引き報道されることが多いのですが、あれも誤報が多いので注意が必要です。

小泉:テレグラムもメディアも「何がどういう根拠で書かれているか」ですよね。どのソースでも、まず自分が持っているバックグラウンド情報に照らして、それがあり得そうなのかどうなのか、という判断をしなければならないです。

黒井:「これは面白い!」と目を惹くキャッチーなネタ、「本当だったらこれはすごいぞ」というようなネタは、いったん保留して、その情報の根拠をクロスチェックする作業が不可欠だと思います。

小泉:最初からあからさまなフェイクとわかるものも多いですが、微妙な情報も日々出てきます。仮説のひとつとしては、べつに最初から排除することはないですが、そのまま信用はできないですね。

一見変哲のないニュースでも
専門家の目にはお宝に映る

――ロシア・メディア、ウクライナ・メディアの読み方での注意点は?

小泉:ロシアのメディアはロシア当局に統制されているので信用できない、と言われるのですが、さまざまなケースがあります。

 たとえば、プーチンの権力周りの情報は、もう自由には報じられないのは間違いない。他方で、政府がメディアを全部統制できているかというと、そうでもない。今でもロシアのメディアを丹念に読んでいけば、いろいろなことがわかります。

 それと、仮に政府が統制している情報であっても、定点観測するとわかることも多い。言葉使いの変化とか、誰が登場して誰が登場しないとか、そういったことから、いろいろ読めることはあります。