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ロシアのウクライナ侵攻以降、世界の主要メディアは一斉に報道合戦を繰り広げてきたが、誤報や偏向報道が少なくない。その中には、名門メディアと言われる報道機関の名も…。ロシア情勢に詳しい軍事評論家2人が、報道の裏側を明かす。※本稿は、小泉 悠、黒井文太郎『国際情勢を読み解く技術』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
気になるロシアの動向は
意外にも官製メディアに掲載
――ロシアの弾薬の生産や備蓄の量などは、外部から読めるのか?
小泉悠(以下、小泉):それは難しいです。弾薬の生産工場はわかっているのですが、工場は衛星で上空から見ただけではなんともわかりません。
弾薬生産能力というのは、各国の軍の研究機関が出している見積もりの数字がいちばん参考になって、たとえば450万発という最大推定値は、2023年にエストニア国防省が出した数字です。他にもイギリスのRUSIや米国のRAND(ランド研究所)など、さまざまな組織がそういった見積もりを出していて、だいたい300万~450万発になります。
黒井文太郎(以下、黒井):ロシア軍の内部の情報については、私も欧米の研究機関のレポートを参考にします。ただ、それも分量が多いので、つい欧米主要メディアがニュースとして引用する、注目されるレポートばかりを参考にしてしまうのですが、より厳密に分析するには、さらに多くの情報源に当たる必要があって、その作業はかなり膨大になります。
小泉:私は自分の専門分野ですので、ロシアの情報源を細かく見るようにしています。ロシアの情報源といっても、フェイク情報ばかりではありません。ロシア軍の動向を分析するために有効な情報などは、ほとんどロシア側の情報源にあります。







