どうして孤立を感じやすくなるのでしょうか。
その理由は、SNSをやればやるほど、他人のことが気になってしかたがなくなるから。
さらに、他人と自分を無意識のうちに比較してしまい、「○○さんは友だちが多いのに、それに比べて私は…」とネガティブな気持ちになってしまうからです。能力やつながりが数字で可視化されてしまうので、当然、劣等感を抱かされてしまいます。SNSにのめり込むことは、私生活にまで競争の原理を持ち込むことになるわけです。
SNSをそもそもやっていない人は、他人が何をしているのかがわかりませんし、他人と自分を比べることもありません。ですので、心が乱されることもなく、非常に平穏な暮らしができるのです。
「寂しさ」や「社会的孤立」を感じたくないのであれば、SNSやLINEのやりとりを少しはセーブしたほうがいいかもしれません。
カナダにあるブリティッシュコロンビア大学のコスタディン・クルシェフは、コミュニティセンターにポスターを貼ったり、地元の新聞で募集をしたりして集めた124名(平均30歳)を2つのグループにわけ、半数には1週間、1日のメールチェックは3回までにしてもらいました。残りの半数は今まで通り無制限にやりとりしてもらいました(※3)。
それから1週間後に調べたところ、メールチェックを1日に3回までと制限したグループでは、毎日のストレスが減り、ポジティブな感情になることがわかりました。人とやりとりする時間や頻度が少ないほうが、逆説的に幸せに生きていけるのです。
「最近、私も足元がおぼつかなくなってきたな……。時間もあるわけだし、SNSでも始めてみようかな?」と考える年配者もいるでしょう。
そういう気持ちに水を差す形になってしまったら申し訳ないのですが、余計に寂しくなってしまう可能性があるということは知っておいたほうがよいと思います。
SNSでたくさんの知り合いをつくるよりも、むしろ、自分が住んでいる地元でお友だちを増やすことに時間を使ったほうがよいかもしれません。
ハーバード・メディカル・スクールのエドワード・ハロウェルによりますと、どれだけ便利なテクノロジーが世の中に登場しても、依然として本物のコミュニケーションには対面が必要なのだそうです。ハロウェルは、「ハイテク」の時代だからこそ「ハイタッチ」(直接的な触れ合い)が重要とも指摘しています。







