年をとってから寂しさを感じるか、それとも仲間に恵まれて幸せな人生を歩めるかどうかを知りたいのなら、次のような質問をしてみましょう。
「自宅から歩いていける範囲に、どれくらいお友達がいらっしゃいますか?」
この質問は、定年を過ぎた人だけではなく、仕事をしている現役世代にもご自身に問いかけてほしいものです。
地域とのつながりは仕事を引退してからつくればいいと考えている人も多いと思います。しかし、定年を迎えた途端に近寄ってくる人がいたとして、そんな自分本位な人間と交流したい人はいるでしょうか。地域の人たちはずっとあなたの周りにいたのに、無視されてきたわけです。「地域交流を避け、優先順位が低いことを暗に伝えてきてしまった」という過去を乗り越えるのは、簡単なことではありません。
 一方、現役時代から地域とのつながりを大事にしていれば、現役と定年で地域との関係に変化は生じませんので、スムーズに老後の人間関係を築くことができます。打算的な考え方ではありますが、自分の将来のために現役時代から地域とつながりをつくっておくことが、老後の人間関係を構築するうえで非常に重要だと言えます。
 
 もし親しく付き合う人が近所にいるのなら、その人はおそらく幸せに生きていくことができます。「私にはフォロワーが10万人もいるのですよ」と誇らしげに自慢する人よりも、ずっと幸せに生きていけるかもしれません。
もし自分が暮らしている地元のコミュニティにおいてサークル活動の募集をしていたら、それがオカリナを習う会であろうが、バドミントンの愛好会であろうが、どんどん参加してみてください。近くにお友達ができれば、孤立も感じにくくなるでしょうし、困ったときには助けてもらえますし、まことに心強く生きていくことができますよ。
(参考文献)
※1 Primack, B. A., Shensa, A., Sidani, J. E., Whaite, E. O., Lin, L., Rosen, D., Colditz, J. B., Radovic, A., & Miller, E.  2017  Social media use and social isolation among young adults in the United States.  American Journal of Preventive Medicine ,53, 1-8.
※2 David, M. E. & Roberts, J. A.  2017  Phubbed and alone: Phone snubbing, social exclusion, and attachment to social media.  Journal of the Association for Consumer Research ,2, 155-163.
※3 Hallowell, E. M.  1999  The human moment at work.  Harvard Business Review ,77, 59-66.







