入試は「ペーパー」だけじゃない時代に

びーやま:一方で、現場では「ペーパーテスト的なもの」が軽視されすぎている面もありませんか? ペーパーテストができることは、やはりある種の優秀さのシグナルではあるのかなと思います。

中原:それはあるかもしれません。しかも昔と違って、最近の入試問題は、ちゃんと考えたり論理的に処理したりしないと解けないものも多いですからね。めちゃくちゃ情報処理能力を求められますよ。古い世代の方は、ぜひ、いまの共通テストを受けてみてください。古いイメージを引きずったまま、「ペーパー=暗記力」だと思っていると危険ですね。

びーやま:しかも、いまの入試は、純粋なペーパーテストだけで選抜するのは半分程度です。残り半分は推薦や総合型選抜(旧・AO入試)なので、学力以外の経験や意欲も評価されます。そう考えると「学歴の高さ」と「仕事の能力」が結びつく度合いも、これからは変わってくるかもしれません。

中原:そのとおりですね。そのうち、大学入試の世界から、ペーパーテスト自体がなくなる可能性だってあると思いますよ。膨大な受験生の合否を短期・低コストで判定できるテクノロジーが出てくれば、一発勝負のペーパーに頼る必要はなくなる。時代とともに、選抜の仕組みそのものが変わっていくでしょうね。

中原淳氏(左)・びーやま氏(右)中原淳氏(左)・びーやま氏(右)
※1:本記事ではびーやま氏、もしくは編集部宛に届いた悩みを扱っております。
中原淳
立教大学経営学部教授。立教大学大学院経営学研究科リーダーシップ開発コース主査、立教大学経営学部リーダーシップ研究所副所長などを兼任。博士(人間科学)。1998年東京大学教育学部卒業。大阪大学大学院人間科学研究科で学び、米マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学准教授などを経て現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発・リーダーシップ開発について研究している。著書に『M&A後の組織・職場づくり入門』『組織開発の探究』(共著、HRアワード2019書籍部門・最優秀賞受賞)、『研修開発入門』(以上、ダイヤモンド社)、『職場学習論』『経営学習論』(以上、東京大学出版会)ほか多数。

びーやま
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』のツッコミ担当。早稲田大学教育学部卒。高校時代の偏差値は37だったが、1年間の浪人を経て早稲田大学に入学。大学時代は起業・自主退学・復学など、さまざまな経験をしたのち、大学受験のすばらしさに気づき現在に至る。甘いルックスと鋭いツッコミ(たまにポンコツ)で視聴者の心を掴んでいる。決め台詞は学歴モンスターの相方・高田ふーみんを制止する「ヤメロオマエ」。