「お金への執着」が判断を鈍らせる
シゲルさんの「楽しいから」という一言は、あまりにもシンプルでありながら、億という資産を築いた人間の重みを持って響きます。
個人投資家は、日々の株価の上下に一喜一憂し、「いかに増やすか」「損をしたくない」という感情に振り回されがち。しかし、シゲルさんの言葉は、投資で大きな成功を収めるためには、逆説的ですが「お金への執着から解放される」ことが一つの境地である可能性を示唆しています。
24億円という、使い切れないほどの資産を手にしてもなお市場に向き合い続けるのは、彼にとって株式投資が「資産を増やす手段」から「知的な探求」あるいは「最高のゲーム」へと昇華しているからでしょう。
「楽しさ」こそが継続と成長の源泉
「必要ない」と言い切りながらも「もう1桁増やす」という目標を掲げる矛盾。それは、お金が目的ではなく、自らの分析や手法が市場で通用するかを試し続け、自己ベストを更新していくこと自体に「楽しさ」を見出しているからです。
この「楽しさ」や「探求心」こそが、20年以上という長期間、相場と対峙し続けることができた最大の原動力に違いありません。
投資家としての「哲学」を持つ
シゲルさんの生き方は、私たちに「何のために投資をするのか」という根本的な問いを投げかけます。利益を追い求めることは当然ですが、それだけでは辛い調整局面に耐えられないかもしれません。
シゲルさんのように、自分なりの「哲学」や「楽しさ」を見出すこと。それこそが、浮き沈みの激しい株式市場で長く生き残り、結果として大きな資産を築くための鍵なのかもしれません。
謎の手帳に記されているのは、単なる取引記録ではなく、シゲルさんの「楽しさ」の源泉と、市場で勝ち続けるための哲学そのものなのでしょう。
※本稿は、『89歳、現役トレーダー 大富豪シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。











