落語の「大喜利」が、じつは記憶力アップのヒントになる!? お題に対して瞬時に答えをひねり出す大喜利の発想法には、脳が情報を整理し、ひらめきによって記憶を定着させるための仕組みが隠されています。話題の動画「50歳でも記憶力はアップ! 加齢に勝てる脳トレ法」を公開した池田義博氏は、日本記憶力選手権大会で6回優勝。試験・資格・英語・ビジネスなど、あらゆる場面で結果を出すためのメソッドを紹介します。※本稿は、著書「世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法の一部を抜粋しました。

大喜利の発想法が、記憶力アップのヒントになる

 「大喜利」を知っていますか? 「笑点」という有名なテレビ番組があるので、一度は見たことがあるでしょう。

 舞台の上に落語家さんたちが横一列に並んで座っていて、司会の人から出されたお題に対し、それぞれが面白い答えで笑わせたり、時には「なるほど!」とうならせるような答えを出したりしてこちらを楽しませてくれるものです。

 お題を出されてから、あの短い時間で答えを導くのを見ていると、いくら慣れているとはいえ、さすがプロだなあと、本当に感心します。

「わかった!」の瞬間に記憶のスイッチが入る! 記憶力日本一が説く、”ひらめき=大喜利力”の重要性Photo:PIXTA

 ところで、我々の日常生活において関わりがほとんどないと思われるこの大喜利が勉強には大変役に立ちます。

 大喜利における落語家さんたちの答えの導き方が、勉強内容を覚えるのに非常に有効な手段なのです。

 勉強していると、暗記が必要なものがたくさん出てきますよね。

 なかには、たくさんの事柄をまとめて整理して覚えなければならない項目が結構あります。

 馴染みのあるところでは、江戸時代の徳川将軍全員の名前などがそうですね。

 情報を整理して覚えることが学習の本質の一つなので、こういう暗記項目は受験勉強や資格試験にかかわらず、勉強と名のつくものなら必ず存在します。

 このような知識は、「ほぼ覚えた」では意味がなく、全項目を完璧に覚えて初めて使える知識となるので大変です。

 こういう場面では、自分の脳を頼りましょう。暗記するにあたって、脳にある性質を使うのです。

「わかった!」の瞬間が、脳の記憶スイッチを押す

 皆さんは、「だまし絵」を知っていますか? 木が描かれている絵の中に人の顔が隠されていたり、見方を変えると若い女性が老婆に見えたりする絵のことです。

 そうした仕掛けは周りの絵に溶け込んでいるため、最初のうちはどこに隠されているかなかなかわかりませんが、がんばって探していると、そのうちに隠された絵が浮かび上がってきます。

 その瞬間の「わかった!見つけた!」という感覚、漫画でよく出てくる頭の上に電球が光るあのイメージ、やったことがある人ならわかるでしょう。

 あの「!」という感覚が、ここでも脳にとっての「記憶スイッチ」になるのです。

 脳はバラバラに見えているもの同士の中に関係性が存在していることを見つけたとたん、うれしくなって思わず記憶を強めてしまうという性質を持っています。

「わかった!」の瞬間に記憶のスイッチが入る! 記憶力日本一が説く、”ひらめき=大喜利力”の重要性

 たとえば、電話番号などもただの数字の羅列と思っていてはなかなか覚えられませんが、並んでいる数字でゴロ合わせができたりすると、急に覚えやすくなるのはそういうことです。

 勉強にも、この「わかった!見つけた!」を利用すると記憶を強めることができます。

 そのために必要なのが「大喜利力」なのです。