テレビ局以外のマスコミ界は人気
例のない凋落ぶりで斜陽産業に

 では、マスコミ業界の人気はどうなっているのでしょうか。実は、テレビ局以外の人気は揺らいでいないのです。広告・出版のランキングを見てみると、2014年卒と2025年卒では、どちらも8社がランクインしています。広告大手の電通、博報堂はどちらにもエントリーしていますし、集英社、講談社など、出版大手も両方にエントリーしています。何社か入れ替わった企業もありますが、こちらも、基本的な顔ぶれは変わっていません。

書影『テレビが終わる日』(今道琢也、新潮社)『テレビが終わる日』(今道琢也、新潮社)

 ここから分かることは、昔と今とで学生の就職に関しての志向はさして変わっていない、ということです。昔人気だった企業は今も人気で、多少の企業の入れ替わりはあっても、大きな違いはありません。

 要するに、「テレビ局だけが業界ごと消滅してしまった」、ということなのです。産業の栄枯盛衰は世の常であり、かつて花形であった産業が、気がつけば斜陽産業になっている、という例はいくらでもあります。しかし、10年でこれほど凋落した例を、私は他に知りません。

「就職人気企業ランキング」はあくまで人気投票のようなものであり、実際の学生の応募動向とは異なる点も多々あることでしょう。とはいえ、学生からの人気が大きく下がってしまえば、テレビ局各社の採用活動にも影響を及ぼすことは、避けられないはずです。