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会議で発言するとき、「どこまで言っていいのか」と悩むことはありませんか?強く主張すれば「和を乱す」と嫌われ、黙っていれば「やる気がない」と思われる…。しかし、同じように意見を言っても、なぜか「評価される人」もいます。両者を分けるのは、実は“たった1つ”の伝え方の違い。あなたの意見をスムーズに通し、信頼まで得られる、一流のコミュニケーション術の秘訣を解き明かします。(人材研究所ディレクター 安藤 健、構成/ライター 奥田由意)
誰からも嫌われない
「無風な人」とは
職場で生き残るためには、自己主張と協調性のバランスをどう取るべきでしょうか。私は多くの企業で採用や人事のコンサルティングをする中で、興味深い存在に気づきました。それは「無風な人」です。
無風な人とは、自分の意見を押し付けることもなく、かといって黙ってもいない、絶妙に中庸なポジションを維持している人のことです。彼らは周囲によい印象を与えながら、変に目立つこともなく、誰にも嫌われることもなく、強い攻撃を受けることもありません。平穏に職場生活を送っているのです。
実際、職場で目立ちたくない、無風でいたいというニーズは一定数あります。キャリア面談をしていると「私は別に出世に興味がありません。嫌われたくないけど、変に目立ちたくもないんです」という人は多いのです。
実は、職場で嫌われる理由の一つに「会議で何も言わない」ということがあります。意見を求められているのに押し黙っているだけでは、問題になってしまうのです。
一方で「出る杭は打たれる」ということわざがあるように、場を騒がせるような突飛な意見を言って目立つと、もちろんそれはそれで嫌われます。「こんなことをやっても意味ないと思います」とか「私はこれがいいと思います」と強く主張する人がいると、収集がつかなくなり、場にも困惑の空気が広がります。
無風な人は、そのどちらでもありません。会議の場でも、一言も発しない人ではなく、発言内容は特に覚えられていないけれど、確かに発言はしている、そんな存在です。ふわっと議論に参加しているのです。
今の時代、多くの会議でファシリテーターが設定されており、発言しない人にはファシリテーターが話を振るのが通例です。「○○さんはどう思いますか」と名指しされます。そうなると目立ってしまいますし、「こいつは話を振られないと話さない」という印象を持たれてしまいます。それも良くありません。
職場で誰からも嫌われない無風な人たちは何を考えて、どんな発言をしているのでしょうか。主張と調和を両立させる「ふわっと議論に参加」する手法を心理学の知見から説明します。







