「どうせ無理」と思った瞬間、脳は未来への扉を閉ざしてしまう――。けれど、「どうすればできるか?」と問いを変えるだけで、脳は可能性を探し始めます。
話題の書籍『奇跡が起きる 毎朝1分日記』の著者・三宅裕之氏は、「うまくいかない人は環境ではなく“思考のプログラム”でつまずいている」と語ります。なかでも最も危険なのが「どうせ無理」という自己暗示。たった一言でも、脳の探索機能を止めチャンスを見えなくしてしまいます。
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脳は“見たいもの”しか見ない
私たちの脳は、外の世界をそのまま見ているようでいて、実は自分の信念を通して世界を見ています。
心理学では「選択的注意」と呼ばれ、脳は自分が信じていることと一致する情報だけを優先的に処理する傾向があります。
たとえば「上司は自分を評価してくれない」と思い込んでいる人は、褒められた場面ではなく、注意された場面ばかりを記憶してしまう。脳が信念を裏づける証拠を無意識に探し続けているのです。
思考が現実をつくるメカニズム
アメリカの心理学者ロゼンタールの実験では、教師に「この子どもたちは将来伸びる」と伝えただけで、実際にその生徒の成績が上がったことが確認されています。
これは「自己成就予言」と呼ばれる現象で、人は自分の思い込み通りに行動し、その結果、現実までもが信念に沿うように変化していくのです。逆に「どうせ無理」という思い込みを持っていると、挑戦する前に脳が“無駄だ”と判断し、行動を止めてしまいます。
リミティング・ビリーフを外す
コーチングでは、このような「できない」「向いていない」といった思い込みを“リミティング・ビリーフ(制限的信念)”と呼びます。
さらに、潜在意識は否定形を理解できず、「失敗したくない」と思えば“失敗”に焦点を合わせ、「緊張しないように」と思えばかえって緊張する。
脳を動かす魔法の質問
では、どうすれば脳を“うまくいくモード”に切り替えられるのか。鍵は「質問の質」です。
「どうせ無理」ではなく、「どうすればできるか?」と問いを変える。脳は質問されると、答えを探し始める習性を持っています。
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエックの研究では、「まだできない。どうすれば?」という言葉を使う子どもほど、失敗を成長の一部と捉え、長期的に高い成果を上げることがわかっています。
言葉が思考を変え、思考が現実を変える
「どうせ無理」は脳を止めるスイッチ。「どうすれば?」は脳を動かすスイッチ。私が主催する朝活では、毎朝の「1分日記」で前日の感謝と今日のチャレンジを書いています。
続けているうちに「できない理由」よりも「できる方法」を探す脳に変わっていくのを感じます。思考のクセが行動を変え、行動が現実を変えるのです。
“どうせ無理”をやめる。その一言をやめるだけで、脳は未来の味方になります。








