大学附属校の3つのトラップ
大学附属校というと、「レールが敷かれていて安心」というイメージがありますが、進学にはいくつものハードルが存在します。まず一つ目は、「進学できる学部が限られている」という問題です。
大学によっては、附属生の進学先学部が事実上指定されていたり、定員が非常に少なかったりします。Cさんのように、高校3年になってから興味が出てきた分野が附属先大学に存在しないということも珍しくありません。つまり、「やりたいこと」が後から出てきた場合に、それに対応できないことがあるのです。
二つ目は、「評定不足」という問題です。附属校であっても、内部進学には一定の成績基準が求められます。高校1年生からの定期テストや提出物、態度などが点数化され、それらの総合で評定が算出されます。その結果、思ったよりも評定が足りず、希望する学部には進めない――というケースが少なくありません。
そして三つ目にして最も大きな問題が、「目的意識の欠如」です。附属校にいることで、「大学には行けるから大丈夫」と油断してしまい、進路について自分で考える機会を失ってしまう子がいます。内部進学はある意味“自動運転”のようなもの。だからこそ、自分の将来について深く考えることなく流されてしまうことがあるのです。
ところが、総合型選抜や学校推薦型選抜では、この「目的意識」が最も重視されます。なぜその大学に行きたいのか、なぜその学部を選んだのか、自分は何を学びたいのか。そうした問いに、自分の言葉で答えられる子が評価されるのです。
その上で、多くの人が附属の大学に進学する学校の場合、そのままエスカレーターで大学に行く人が多いため、他の大学に行く人は「マイノリティ」になってしまいます。先生にも他の学校の先生に比べてノウハウがなく、推薦入試についてあまりわかっていない、なんてケースもあります。
「大学進学できれば学部は関係ない」は嘘
また、ちなみにこのケースについて、皆さんの中にはこう思う方もいるかもしれません。「やりたいこととか別に考えなくても、学部なんてどこでもいいから、とりあえず内部進学できるならそのまま進めばいいのに」と。しかし、そんなに単純な話ではありません。
親が大学附属から別の大学への受験を反対し、勉強したくないことを学ばなければならなくなってしまったことでモチベーションが大きく下がり、進学した大学で留年を繰り返してドロップアウトしてしまう、なんてケースも少なくないのです。
「大学なんて出ればどこも一緒じゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、やはり学部によって学ぶ内容や将来の就職先は大きく変わってきてしまいます。大学附属だからと言って必ず幸せになれるというのは、親の幻想でしかないのです。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成した記事です)




