「名門大学の附属校に入れば、受験をしなくても高学歴になれるから安心ですよね」
新刊『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「勉強が苦手だったり、勉強をしたくない子どもにもチャンスがある」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、大学附属校に関心がある親御さんに知っておいてほしいことについて、本書をもとに解説します。

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大学附属校の罠

「名門大学の附属校に入れば、受験をしなくても高学歴になれるから安心ですよね」

そう考えて中学受験に挑む家庭は少なくありません。実際、首都圏の人気校ランキングでも、有名私立大学の附属中高一貫校は毎年上位に入ります。親からすれば、子どもが高校生の段階で進学先がある程度保証されていることは大きな安心材料ですし、本人にとっても「大学受験を回避できる」という点は魅力的に映るでしょう。

ところが、附属校に入ったものの「思っていたのと違う」という事態が起きるケースは少なくありません。内部進学だからこそ直面する壁があり、それが結果的に「進路の選択肢を狭めてしまう」原因となっているのです。
過去に自分が指導している中で、こんな生徒がいたことがあります。

附属校に入ったけど、希望の学部に進めない?

高校3年生のAさん。中学受験で有名私立大学の附属中高一貫校に合格し、親子で大喜び。大学受験をしなくてもそのまま進学できると思っていたため、あまり進路について深く考えることなく高校生活を過ごしていた。
高校3年生になって心理学に興味を持ち始めたAさん。ところが、内部進学先の大学には心理学が勉強できる学部が存在せず、他学部を調べても、自分のやりたい勉強ができないことが判明。

一般受験も視野に入れようとしたものの、そもそも受験勉強をしてこなかったため、偏差値的にも厳しい。評定も思ったより高くなく、推薦にも挑戦できない。Aさんは「附属に入ったはずなのに、どこにも行けないかもしれない」と焦っている。

ちなみに彼女はその後、一念発起して附属の大学に行かずに総合型選抜入試をすることを決意し、非常に努力して念願の心理学が勉強できる大学に入学しました。が、彼女の場合は運が良かったという面があります。このようなケースで急に大学受験をしなくなり大失敗してしまうという場合は少なくありません。