【解説】現役トレーダーの実体験から学ぶべきこと

シゲルさんの貴重な経験談は、多くの重要な示唆を与えてくれます。相場での成功は、知識や技術だけでなく、心身の健康という土台があってこそ成り立つのです。

シゲルさんを襲った脳梗塞や心筋梗塞は、誰にでも起こりうる突発的な健康リスクです。特に、ご家族の「いつもと違ういびき」という気づきが、投資家にとって根本的に重要な「脳の機能」を守ることにつながりました。

これは、投資における「リスク管理」と通じます。自分自身の体調変化に敏感であること、そして異変に気づいてくれるご家族との日々のコミュニケーションは、万が一の際に自分自身を守る最強のセーフティネットとなり得るのです。

パフォーマンスを支える「身体」という環境

投資家にとって「目」は、チャートや四季報、ニュースといった情報を仕入れる最も重要なインターフェースです。シゲルさんが白内障手術によって「ルーペよさらば!」となったように、視力の回復がトレードの快適性や精度に直結したことは想像に難くありません。

PCのスペックやモニターの台数にこだわるように、自身の「視力」や「手の動作」といった身体機能のメンテナンスも、トレード環境を整える上で非常に重要な要素であることを再認識させられます。

「自己判断」と「医学的知見」のバランス

高血圧に関するシゲルさんの考え方は、「判断力を鈍らせたくない」というトレーダーとしての強い信念の表れです。確かに降圧剤による影響を懸念する気持ちも理解できます。

しかし、血圧240という数値は、再び脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしかねない危険な状態ともいえます。ご自身の判断を優先するあまり、投資活動そのものができなくなってしまっては本末転倒です。

ご自身の体調や薬に関して懸念がある場合は、それを率直に医師に相談し、パフォーマンス維持と健康維持を両立できる最適な方法を一緒に探ることが、長期的に相場で生き残るために賢明な判断といえるでしょう。

※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。