「丸暗記」するしかない内容ををどう覚えるか。実はその答えは、「ストーリー化」にあります。無関係な言葉をつなぎ合わせ、多少強引でも物語として頭の中で映像化することで、脳はそれを“自分の体験”として記憶に残すのです。話題の動画「50歳でも記憶力はアップ!加齢に勝てる脳トレ法」を公開した池田義博氏は、日本記憶力選手権大会で6回優勝。試験・資格・英語・ビジネスなど、あらゆる場面で結果を出すためのメソッドを紹介します。
※本稿は、著書「世界記憶力グランドマスターが教える脳にまかせる勉強法の一部を抜粋しました。

エピソードにすれば、記憶は思い出になる

 脳は実際に体験・経験したエピソードについて、「思い出」のように長く記憶にとどめておこうとする性質を持っています。

脳は実際に体験・経験したエピソードについて、「思い出」のように長く記憶にとどめておこうとする性質を持っていますPhoto:PIXTA

 ところが、勉強の中で覚えなければならないことのほとんどが「世界一長い川はナイル川」「1789年にフランス革命が起こる」といった情報であって、自分自身のエピソードではありません。

 何度も繰り返して読めば、いつかは覚えることもできるでしょうが、勉強の効率を上げるためにも、脳の力に頼りましょう。

 脳をうまく利用するために、勉強の内容をエピソードに変える方法があります。それは覚えるものをストーリーにしてしまう方法です。要は覚えるものを登場人物にして話を作り、それを映像化したものを頭の中で見て体験することでエピソードにするのです。

バラバラの単語でも、「強引なストーリー化」で覚えられる

 ここで単語を10個並べてみます。

「火山」
「クジラ」
「月」
「バナナ」
「ピラミッド」
「恐竜」
「たまご」
「サッカーボール」
「ヘリコプター」
「トランペット」

 これを今すぐに覚えてと言われても、たった10個とはいえ、共通点や規則性がないので、そのまま覚えるのはなかなか大変です。

 そこでバラバラの項目をつなげてストーリーにすることで、関連性をなかば強制的に作ってしまうのです。

 後づけでストーリーを作るため、強引にこじつけることが必要です。

 当然つなげるとへんてこりんな話になりますが、逆にそのほうがインパクトは強く、脳の仕組みにとっては記憶に残りやすくなるため好都合なのです。

 先ほどの10個の単語を使って私が考えたストーリーを紹介します。イメージを描きながら読んでみてください。

「クジラが潮を吹く穴でトランペットを吹いたら、中からたまごが飛び出し空を飛んでいたヘリコプターに当たって割れた。驚いたパイロットが思わず食べているバナナを落とすと、下にいた恐竜がそれですべって転び、近くにあるサッカーボールを蹴った。いきおいよく飛んだボールはピラミッドを破壊し、すると中から火山が現れ噴火が始まり噴き上がったマグマが月を燃やした」

 このようなストーリーを作って、頭の中で映像を追いながら何回か繰り返せば、すぐに頭に入ってしまいます。こうして一連の流れを映像で覚えるようにします。

 単語を思い出すときには覚えたストーリーを頭の中で順を追って再現し、そこに登場するものを順番に挙げていけば漏れなく全部アウトプットできるというわけです。

 ポイントは、繰り返すようですが強引に話をつなげていくことです。

 目的はバラバラの項目同士の関連性を作り出すことであって、きれいにつながる話を作ることではないのですから。