残されたメンバーには業務優先順位の再設定や「これは一時的な状態」という認識共有が有効です。ある商社のリーダーは、業務を洗い出し、止められる仕事や外部委託可能な仕事を明確化した上で「一時的な負荷」だと伝えていました。
不安が芽生えてきたメンバーには、1on1ミーティングや産業医との相談機会を用意します。「不安は自然なこと」と受け止め、声を聞く場をつくることが重要です。
そして、この問題を改善するには「組織全体の課題」として捉え、人事や上司と率直に話し合い、対応策を共有することが何よりも大切です。真摯な姿勢と組織支援があれば、回復、健康維持、持続可能性を実現する道が開けます。
あなたはひとりではありません。組織リソースを活用し、この危機を乗り越えていきましょう。
もっと成長したい要望を
どう汲み取ればいいのか
「育成機会の損失」は、多忙な現場で起こりがちなネガティブサプライズのひとつです。優秀な社員が新たなスキル獲得やキャリア拡張を求めているにもかかわらず、リーダーがその要望を汲み取れないと、成長機会は失われます。
これが積み重なると、「この組織では成長できない」と感じた社員がやがて離職したり、モチベーションが低下したりといったことに至ります。
しかし、この損失は「適切な対話」で防げます。リーダーが日常的な1on1やチーム対話で「今後、どんなスキルを伸ばしたいか」「どんな経験が成長につながるか」を発問することで、メンバーは自分の願望を安心して表明できます。
そうした場で、社員が抱える欲求や可能性が表出すれば、育成計画の再設計や新たなタスク付与が検討できます。
たとえば、あるメーカーでは、チームリーダーが定期的に「学びたい分野」や「苦手を克服したい領域」を尋ねる習慣を導入しました。
その結果、表面化していなかったメンバーのニーズに合わせ、新しい研修プログラムを用意し、担当業務を調整したところ、離職率が低下し、社員が自発的にスキルアップする空気が生まれました。
つまり、成長機会の損失は、黙したままのニーズの放置から生じるのです。







