観光列車を撮影する人々写真はイメージです Photo:PIXTA

近年、鉄道の写真撮影を趣味とする「撮り鉄」による迷惑行為が目立つようになっているという。鉄道トレンド総研に寄せられた撮り鉄とのトラブルを経験した人の体験を紹介する。(鉄道トレンド総研所長・鉄道コラムニスト 東 香名子)

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「下がれよ、安月給」と駅員に暴言
勝手に人の家の木を切る撮り鉄まで

 ここ最近、ニュースで「撮り鉄」の迷惑行為が大きく取り上げられるようになりました。駅員や他の乗客とのトラブルとなったり、私有地に無断で入ったり、勝手に木を伐採してしまう人まで、報道される「撮り鉄トラブル」はさまざまです。そうしたニュースが増えるうち、いつしか世間の人から忌み嫌われるようになってしまいました。

 撮り鉄を象徴する「罵声大会」という言葉をご存知でしょうか。良い撮影場所をめぐってファン同士が口論や怒鳴り合いになり、その様子が動画などで拡散されて名付けられた俗称です。

 同じ撮り鉄やほかの利用客に対して「どけよ!」「邪魔だよ!」などの罵声は日常茶飯事で、先日は「下がれよ、安月給」と駅員に対する失礼極まりない暴言を発する撮り鉄もSNSで拡散されました。

 罵声大会だけではありません。線路に立ち入り、列車の運行を止める迷惑行為も度々起きています。2023年6月、寝台特急「カシオペア」を撮影しようと男性2人が線路に侵入、列車は緊急停止しました。その後、2人は鉄道営業法違反罪で略式起訴され、それぞれ科料9千円の略式命令を課されました。

 勝手に人の家の木を切ってしまう人もいます。言い分を聞けば、写真に映り込むから、という呆れた理由です。記憶に新しいのが、2025年8月上旬。しなの鉄道沿線で、撮り鉄が無断で住宅の敷地内に侵入し、庭先の木を伐採する事案が発生。住民から苦情が入り、その影響で後にレアな人気列車の運行が取りやめになるなど、他の鉄道ファンも迷惑を被ることになりました。

 撮り鉄がらみで起きた珍事といえば、こんなものも。