未来予測専門の経済評論家の立場で予測すると、長期的にはそうなる可能性があります。それも多くの経済人が思っていない形で首都圏の勢力図が描き変わる可能性があるのです。

 一方で短期的にはどうやらトライアルGOは前途多難の様子です。比較的短い期間、首都圏であがいてみたけれども、成果が上がらずに短時間で首都圏から撤退するリスクすら感じさせます。

 この先の未来はどちらになるのでしょうか?まずは現状を分析してみたいと思います。

 そもそもまいばすけっとが開拓したミニスーパーという業態は小売業界におけるイノベーションです。本来はコンビニぐらい小さい店舗でスーパーを営業しようとしても品ぞろえが不十分なうえにコスト高になってしまい儲かりません。

 まいばすけっとの場合は首都圏にドミナント出店(特定の地域に集中的に店舗を出店する戦略)をすることと、イオンの強固なサプライチェーンインフラを使うこと、PB商品のトップバリュを活用することで、一般スーパー並の利益率を維持できるようになりました。徹底的なローコストオペレーションと、首都圏の顧客密度の高さがあったことで常識を覆す成功を収めることができたのです。

 実はまいばすけっとにも弱点があります。それが弁当・おにぎりなどの中食です。通常のスーパーと違って工場で集中して製造したものをイオンのサプライチェーンを通じて首都圏各店に配送しています。その分、店舗で調理するスーパーのお弁当や総菜ほどはおいしくないのです。

 面白いことにコンビニはその逆です。まいばすけっとと同じく工場で作られたにもかかわらず弁当もおにぎりも物凄くおいしい。観察事実として申し上げるとコンビニはスーパーに対抗するために弁当やおにぎりは超高付加価値戦略を採用して、いいものを高く売っています。一方でまいばすけっとは安さで差異化しようとしている分、おいしさではコンビニに劣る。これは私の観察を通じた見解です。

 では、トライアルGOはまいばすけっとやコンビニに対抗できるのでしょうか?