東京都内に初オープンしたトライアルGO Photo:JIJI
首都圏に殴り込みをかけたミニスーパー「トライアルGO」。M&A後に陥りがちな、典型的な課題の正体に迫ります。さらに、「トライアルGO」の東京進出が失敗に終わったとしても、小売業界の勢力図が大きく塗り替えられることも見えてきました。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
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西友が仕掛けた
トライアルGO潰し
西友を買収したトライアルが、東京都内にミニスーパー「トライアルGO」を初出店したのでさっそく視察にでかけました。
トライアルは九州発祥の大型ディスカウントスーパーです。PB商品が安くて品質がいいので私も九州に出張する機会がある度に顔を出すようにしています。
西日本では勢力が大きい一方で、首都圏にはこれまで進出が叶わない状況でした。そこにアメリカのウォルマートが子会社の西友を売却するという大チャンスがころがりこんできたのです。新たに西友を傘下に組み入れたことでトライアルの首都圏への進出が可能となりました。その切り札になると考えられる業態がこのトライアルGOです。
先週、西荻窪に開店したトライアルGOは首都圏でイオンが展開する「まいばすけっと」のダイレクトな競合になるとみられるミニスーパーです。コンビニとそれほど違わない大きさの店舗でスーパー並の低価格と豊富な品ぞろえで商品を販売するのです。
コンセプトとして首都圏に展開する西友の店舗の周囲に、ミニスーパーとしてのトライアルGOを衛星展開する考えです。弁当や総菜を西友の店舗で作り、それを近隣のトライアルGOに配送することでミニスーパーでも新鮮な中食商品が購入できるようになるというアイデアです。お互いの相乗効果で首都圏におけるグループの勢力を広げていこうという戦略プランのようです。
ではトライアルGOは首都圏で小売りの台風の目になりうるのでしょうか?







