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不登校の小中学生は約34万人。もしわが子が不登校になったとしたら、どんな困難が待っているのか。学校に行かない・行けない彼らをとりまく環境はどうなっているのか。和光大学教授で公認心理師でもある著者が、子どものつらい気持ちや親の孤立などの現状を伝える。※本稿は、高坂康雅『不登校のあの子に起きていること』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。著者の名字は正しくは「はしご高」。
そもそも不登校は
「問題」なのか?
子どもは、さまざまな要因・背景によって不登校になります。どのようなケースにしても、学校に行くことや学校での生活がつらいために、学校に行かなくなります。
ところで、そもそも論として、不登校は問題なのでしょうか。実は文部科学省は不登校を「問題行動ではない」としていますが、学校や世間では、いまだに問題(行動)や不適応ととらえられています。では、不登校とはどういう状態なのかを、大人の社会と比べて考えてみましょう。
たとえば、就職するときには、どこに応募するのかを自分で選ぶことができます(実際に就職できるかどうかは別ですが)。自分の考えや求める働き方に合うような会社なのか、会社の雰囲気や待遇はどうなのかを考えて、応募先や就職先を決めます。
ところが、学校(特に公立小・中学校)は、自分の考えや学校の雰囲気などおかまいなしに、勝手に通う学校を決められます。「この学校は合わない」と思っても、自由に学校を変えることはできません。
また、社会ではこれほど個性やダイバーシティ(多様性)が叫ばれており、働き方改革が進められているのに、学校はずっと同じ時間に登校し、みんなと同じ制服を着て、同じ内容を集団で学びます。







