私たちは長年にわたり、そうした「チームがうまく機能するための原則」について研究を続けてきた。

 兵士が「国」のためではなく、「戦友」のために戦うように、チーム内の距離感を意識することが極めて重要だ。お互いの存在を身近に感じ、それぞれが役割を果たすことで、日々の行動が変わっていく。

 これらを実践することで、チーム単位の改善が組織全体にも良い影響をもたらし、より大きな成果へとつながっていくだろう。

夫婦も家族もプロジェクトも
目的を共有すればチームになれる

「チーム」の定義は人によってさまざまだ。私たちの定義はシンプルで、「個人がそれぞれ動くよりも、協力することで、より達成しやすくなる目標を共有する集団」となる。

 この定義から、スポーツチームや軍隊、企業内の部門など、数名以上のグループを思い浮かべるかもしれない。しかし、チームの概念はそれにとどまらない。

 たとえば、経営者とアシスタントのように2人だけで構成されるチームもあるし、2人だけであっても、行き違いや連絡ミスは十分に起こりうる。しかし、「チームが機能する仕組み」を取り入れるだけで、大きな効果を生むことも多い。実際、私たちはそのような事例を数多く見てきた。

 また、チームという考え方は、仕事の場面だけに限らない。たとえば、出産を控えたカップルもチームと捉えることができる。赤ちゃんが生まれたあと、健やかに成長していくことを目指すこのチームにとっても、うまく協力していくための仕組みが欠かせない。その仕組みがなければ、育児に振り回されて共倒れになってしまうかもしれない。

 お互いの役割やタスクをリスト化して共有し、定期的に見直すだけでも、状況は大きく改善されていく。

 実際、「仕事で使っていたGTD(編集部注/筆者が提唱した仕事整理法。頭の中のやるべきことをすべて外に書き出し、体系的に管理することで、ストレスなく仕事を進めることを目的とする)を家族にも導入したら、とてもうまくいった」という声をよく聞く。