厳密に言えば、家族とチームは異なるが(仲が悪くなったからといって家族をクビにはできない)、チームがうまくいくための原則を家族にも活用すれば、家庭に必要となる安全・安心・平和・愛情といったものを、よりスムーズに実現していくことができるだろう。

初対面であっても
円滑に仕事を進められる

 同じように考えると、タクシーの運転手と乗客の関係も一種のチームと言える。これは即席のチームではあるが、「目的地まで乗客を運ぶ」という目的を共有している。

 仕事の場面でも、ちょっとしたプロジェクトのために結成される、即席のチームが増えてきている。

 たとえそれが一時的なものであっても、2人以上が協力し、共通の目的を持っていれば、それはチームと呼ぶことができる。

 また、雇用形態によってチームの定義が変わることもない。チームはフルタイムの人だけ、もしくはパートタイムの人だけで構成されていてもいいし、そのミックスでもかまわない。実際、私たちは10年以上、フルタイムメンバーなしでチームを運営してきたが、十分に機能している。

 誰が何に責任を持っているのか、タスクを引き継ぐときや協力を申し出る際にはどうすればいいのか。そうしたルールを文書化し、役割と責任をはっきりさせると、誰もが「いっしょに働くのは初めてだったよね……?」と驚くぐらい、スムーズに連携が取れるようになった。

 これまで会ったことのない人たちが、わずか数時間のうちにチームとして機能するようになる――こうしたことを実現するためのスキルが、これからの時代には求められていくだろう。

チームの目的によって
ルールの厳しさも変えていく

 チームの形や運営方法は、業界や目的によっても大きく異なる。短期間で解散するプロジェクトチームもあれば、長期的に活動する組織内のチームも存在する。特定の業界には、それぞれの特性に合わせた独自のルールや構造が求められることもある。

 しかし、どんなチームであっても、そのチームに合った仕組みやルールを整えることが大切だ。