――確かに、以前は2月1日にカトリックの雙葉を受けるのであれば、2月2日も同じカトリックである白百合がいいよねといったスクールカラー重視という定番パターンがありました。今は大学附属校に行きたいのかと思いきや、附属校ではない学校も併願校に入っているという具合にラインナップはご家庭ごとで異なり、バラエティーに富んでいる印象があります。

 一昔前までは進学校であれば進学校だけで並べる、大学附属校ならば、附属校だけで統一したものでしたが、今はあまりこだわらないご家庭が多い。たとえ大学附属であっても、併設大学への内部進学率が必ずしも高くない高校も少なからずあり、大学によっては推薦権を保持したまま併設大学以外にも挑戦できます。

 さらに附属校は6年間で英語学習と探究型の授業を重視している学校も多いので、大学の総合型選抜入試との相性も悪くない。大学附属に入ったら、大学はそのまま併設大学で決まるとは限らなくなっているので、それであれば別に附属校でもいいというご家庭の意識の変化があると思います。

――保護者のこだわりが薄くなって定番受験が激減しているということですね。どうしてでしょうか?

 これは交通網の発展に伴って(2)の※「お試し(前受け)受験」という概念が消えたことと、そして(3)の※午後受験を実施する学校の増加が大きな要因だと考えられます。

※「お試し(前受け)受験」=首都圏では、主に1月に行われる本命校以外の受験を指す。本番である2月入試のリハーサルという意味合いが強く、合格しても進学しない場合が多い。お試し受験の対象となる学校は、主に千葉県や埼玉県の中学校、または地方の学校が首都圏に会場を設けて実施する入試などがある。

 要は※渋幕を筆頭に1月校に魅力的な学校が増えたということです。渋幕の場合は1月受験が不合格だったとしても、2月にもう1回受けるチャンスがあるわけです。「※御三家よりも渋幕に行きたい!」という層もかなり増加しています。つまり、1月校が本命校というケースが増えているのです。