実際の2月1日の午後を見てみると、サピックスの生徒の半分以上は午後も受ける。1日の午後が第2志望校であるという子も少なくないです。ただ、その場合は午前→午後の移動という距離的・時間的な制約が出ます。午前午後となると、1日だけでもお子さんへの負担は結構大きいのですが、3日連続でダブルで受け続けるお子様もなかにはいます。体力もメンタルも相当厳しい状況に置かれます。

 午後入試は巣鴨、世田谷学園、都市大付属、跡見、実践女子学園、広尾学園、三田国際科学学園、湘南白百合、高輪、東京農大一、中大横浜、都市大等々力、青学横浜英和、青稜、桐蔭中等、開智日本橋、山手学院…と挙げればキリがないほどですが、一昔前だったら、名門校で第1志望校として置かれていたような学校が多数、午後入試を実施しているのが現状です。このため、午後入試も含めた受験校の決定に迷うご家庭が増えているわけです。

 加えて、(4)に挙げたように今はどの学校も非常にプレゼンが上手いですから、どこも良い学校に感じてしまう。併願校選びには、本当に皆さんが苦慮されているのを感じております。 

――各ご家庭での意見統一も難しそうですね。

(5)について、今や「母と子の受験」から、完全に「家族の受験」になっています。長らく続いた「母親中心の受験」時代では、専業主婦であるお母さんが説明会に出かけることが多く、お母さんが気に入った学校がそのまま受験校になるという傾向がありました。

 ところが、今や共働き家庭がほとんどです。働き方改革の影響でお父さんが受験に参加しやすくなる。そうなると、お父さんとお母さんで学校に対する見方が違うという事も起こりえるわけです。加えて、今は子どもの意見というのも尊重される時代ですから、ひとつの学校を見る軸が各々違ってくる。

 偏差値、大学合格実績、大学の推薦枠、高大連携、英語教育、海外留学プログラム、部活動、施設など、数字や目で見えるもの、逆に目に見えない校風など、評価のポイントは多岐に渡ります。