人間が社交的になるのは、孤独に耐えられず、または孤独な状態にある自分自身に耐えられないからだ。

ダイヤモンド社書籍編集局

ライフスタイル求めない練習　絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論

2025年11月20日 7:30

人に混ざっても満たされず、ひとりだと不安――その往復に疲れていませんか？孤独は敵ではなく、心の平和の土台かもしれません。いま、あなたは自分自身と仲良くできていますか？
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習　絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

人間が社交的になるのは、孤独に耐えられず、または孤独な状態にある自分自身に耐えられないからだ。

孤独を友にする

人間が社交的になるのは、孤独に耐えられず、
または孤独な状態にある自分自身に耐えられないからだ。

――『求めない練習　絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より

アリストテレスは、幸福の条件を「自足」（自分に満足して生きること）に見た。

この視点に立つと、孤独の重要性がはっきりする。

ショーペンハウアーは、孤独と社交を対立として捉え、知的能力が高い人ほどひとりで過ごす傾向が強く、低い人ほど誰かと一緒にいようとする傾向があると述べた。

言い換えれば、孤独は偉大さのしるしでありうる、という見立てである。

そもそも、他者と完全に一体になることはできない。

友人でも、恋人でも、家族でも、個性も好みも意見も違い、必ずどこかで不協和が生じる。

それでも、自分自身とだけは、唯一、完全な融和が可能だ。

心の平和と幸福は、その静かな融和の場――孤独――から生まれる。

だから、孤独を避けるのではなく、孤独に耐え、使いこなす方法を学ぶべきだ。

ひとりの時間は拒絶ではない。

自分の速度で考え、感じ、選び直すための作業台である。

短い沈黙に身を置き、いま怖れていることと望んでいることを一行ずつ書く。

書かれた言葉は、漠然とした不安を具体的な課題に変える。

社交はそのあとで選べばよい。

不足の穴埋めとして人を求めるのではなく、満ちたところから関係を結ぶ。

関係の境界を短く明るく伝え、「今日はここまで」と言える距離を保つ。

孤独の耐性が上がるほど、他人の視線は脅威でなくなる。

自足は、世界を切り捨てる態度ではない。

自分の足で立つからこそ、必要な縁を丁寧に選び、余計な摩擦を減らせる。

幸福は、外側の承認よりも、内側の静けさに長くとどまる力に支えられる。

その力は、孤独を友として扱う練習から育っていく。

（本記事は『求めない練習　絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました）