人は、他人に教えられるより「自分の意志で選ぶ」ほうが印象に残り心を動かされるのです。

粗い仮説から共創する手法は
スタートアップ企業も導入

 顧客の心を動かすために、自分で考えて「自分の意志で選んでもらう」ことが重要だとすると、最初から完璧な仮説を用意して“講義”をするという方法は適切ではありません。

 粗い仮説の段階で顧客にぶつけ、ディスカッションしながら一緒にブラッシュアップしていくべきです。

 そうして自分1人で仮説を作るのではなく、顧客と共創していくことにより、顧客にも仮説の当事者になってもらえ、自分事として捉えてもらうことができます。

「リーンスタートアップ」と呼ばれる、スタートアップ企業でよく取り入れられている製品・サービス開発のマネージメント手法があります。

 この方法では、最初から完成度の高いプロダクトを作り込むのではなく、仮説をもとにMVP(Minimum Viable Product)と呼ばれる必要最低限の価値、機能を備えた商品、サービスを作ります。

 できるだけ短期間、低コストでMVPを作って、イノベーター、アーリーアダプターと呼ばれる新し物好きの顧客にぶつけて反応を見ます。

 その反応をもとにプロダクトを改善しながら、市場に受け入れられていくものに改善していくという方法です。

 リーンスタートアップは、早めにMVPを顧客にぶつけることで反応を見て、市場のニーズをもとに改善し、短い時間でプロダクトの完成度を上げることができます。

 仮にMVPが市場のニーズから外れていたとしても、早めに気づいて修正ができるので、時間をかけてニーズからズレたプロダクトを作ってしまうということがありません。

 粗い仮説をぶつけて、顧客と共創していくという営業手法は、リーンスタートアップの手法と似ています。顧客の認識とズレが発生してしまっても、早めに仮説をぶつけることですぐに気づくことができるのです。

営業責任者の立場で考えれば
導入の理由が見えてくる

 読者の方は「営業」「営業責任者」「事業責任者」など売上に責任を持つ方が多いと思うので、イメージしやすいように、今回は「営業責任者」である顧客に「CRM(顧客関係管理のツール)」を営業しているというシチュエーションで考えてみたいと思います。