この4つのステップを進める中でどれが一番重要だと思いますか?

 もちろん全てのステップが重要ですが、私はオープニングとクロージングが非常に重要だと感じています。

 プロービングは、「本質的な課題」を見つけるステップなので重要ですし、サポーティングはその解決策を提示するステップなので、商談のメインになり、ここに中身がない提案は意味がありません。

 しかし、オープニングとクロージングが悪いとせっかくの素晴らしいプロービングとサポーティングもムダになります。

 なぜだかわかりますか?

 例えば、あなたが軽自動車が欲しいと思って、車のディーラーに行ったとします。その時、ディーラーの営業マンが自社のスポーツカーのスペックの説明をはじめて、いかに加速が素晴らしいかを力説してきたらどう思いますか?

 一部のスポーツカー愛好家をのぞくと多くの人は、「私が聞きたいのはこの話じゃない」と思うのではないでしょうか。

 オープニングは顧客との論点を合わせるために行います。

 論点がズレた話をされると顧客はストレスを感じます。私はマネージャーとして多くのクレーム対応をしてきましたが、営業マンのスキルに対してクレームを受けるケースは、理由を解明していくとほとんどが論点が合っていなかったからでした。

 オープニングでは論点を合意し、顧客が話を聞いてくれる態勢を作ります。顧客が話を聞く態勢になって初めて、仮説構築力や提案力が生きてくるのです。

商談が先に進むかは
オープニングで決まる

 論点を合わせるという以外にもう1つ重要な要素があります。

 それは、顧客の論点に合わせにいくのではなく、何を論点にすべきかを自ら考えて合意を取りにいくということです。

 どういうことか、オープニングの例でみてみましょう。

〈前提〉
 インサイドセールス(内勤営業)が顧客に電話をかけ、あなたが提案するアポイントを取得しました。インサイドセールスからの話によると、顧客はとりあえず製品の説明とデモをしてほしいということです。

〈オープニング〉
本日はお時間いただき有難うございます。
~アイスブレイク~
営業:○○について説明してほしいとご依頼いただいたとお伺いしておりますが、認識合っておりますでしょうか?
顧客:合っています。
営業:それでは本日は○○について説明させていただきますのでよろしくお願いします。