先方としては、□□のような条件を出してくるリスクがあるので、その場合は交換条件として◎◎を提示したいです」というように相談しなければ、何も考えていない奴だと思われるでしょう。

 組織としての目的を考えるためには、自社の戦略、現状を理解する必要があります。そのためには、決裁権を持っている人の目線になって仮説を考えなければなりません。

事業責任者との認識合わせが
大事故を未然に防ぐ

 営業であれば売上を最大化させ個人目標を達成することに目線が行きがちになりますし、それは必ずしも悪いことではありません。

 しかし、「利益率の低下が問題になっており、投資家から利益率の改善を求められている」事業責任者であれば、大口顧客に対して原価近くまで値引きをすることはむしろマイナスになります。

 むしろ商談金額は小さくても利益率の高い受注を目指しているのかもしれません。

 このような状況で自分がもう少しで目標達成しそうという理由で、事業責任者と事前に認識合わせをせずに「今月契約いただければお値引きしますよ」というような交渉をしてしまったらどうでしょう?

 事業責任者から値引きの許可がおりないかもしれません。

 この場合、「この顧客は業界内で大きな影響力を持っており、この案件を受注すればマーケティングコストをかけずに、同業界の顧客から受注できるので販管費を下げることができます。この顧客は原価割れギリギリの30%まで値引きをしてでも絶対受注したいです」という合意を事前にとっておけば、安心して顧客と交渉できます。

 そのためにも、自分だけの優先順位だけではなく、決裁者の目線になると何が重要なのか考える必要があります。

 そして、決裁者の優先順位、重視することもいつでも同じではなく、状況によって変わります。

 組織の戦略、現状をもとに決裁者は何を重視するだろうかについて仮説を立てて、リストを作り事前に合意を取ることが重要です。