カチンときている地方住民写真はイメージです Photo:PIXTA

田舎を活性化させるべく若者がカフェを開くも、地元からの理解を得られず失敗…。こうした話が後を絶たないが、これは田舎の閉鎖性が原因ではない。“よそ者”がやってしまいがちな、町おこし失敗の真の原因とは?※本稿は、ローカルジャーナリストの田中輝美『関係人口の時代「観光以上、定住未満」で地域とつながる』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

地方の住民たちは
課題解決を望んでいるのか?

 若者世代が地域に入る際によく聞くキャッチフレーズが、「若者の斬新なアイデアで地域課題を解決」だ。地域が期待することも、若者世代を送り出す側が期待することもある。

 厳しく映るかもしれないが、数日や1週間、地域に滞在したからと言って、斬新で即効性ある課題解決のアイデアが出る確率はあまり高くはないだろう。

 地域はそれぞれの経緯や人間関係が複雑に絡み合う、一種の生態系と言える。何かを変えようとした提案や批判は、誰かに影響するため、慎重さが求められる。

 仮にいいアイデアが出たとしても、実現するのは誰なのか。「やる人のいない提案は罪」なのだ。プログラムをワークショップやアイデア出しだけに終わらせない工夫は考えてほしい。

 実際に、関係人口(編集部注/離れている特定の地域に愛着を持ち、商品を買って応援したり、定期的に通って住民と親しくなったり、イベントやお祭りを手伝ったりする人)の受け入れを長期間行っている団体関係者が、「住民へのヒアリングとワークショップを通して、課題解決のアイデアを提案するプログラム設計があまりにも多い」とため息交じりに語っていた。